【レディ レディ !】シリーズ  各話チェック


1990/12 に発表した「レディ レディ!」シリーズの各話評です。 


第1話『ハロ―! リンです』
 それは一瞬の出来事であった。イギリスの父親に呼ばれ、はるばる日本からロンドンへと訪れたリンと、その母親。だが、空港から屋敷へ向かうその途上、車が対向のトラックと正面衝突して、リンの母は虚空に散る。しかし、主人公たるリンは、母親の死を知るにはあまりにも幼く、何故急に自分のそばから美鈴が消えたのか理解できずに異国の地で戸惑うのである。かわいそ―だ〜!
 事情をよくのみこんでいないリンの無邪気な明るさがなかなかにぐっと来るものがあるのだが、加えて、彼女の存在を無下に嫌っている異母姉妹のセ―ラ嬢の冷たい視線が、あうう……強烈! 早くもリンの泣き顔を見せたくてしょうがないというスタッフの心意気に、こわいくらいのノリとパワ―を感じる。(おいおい)
 しょっぱなから「可愛そうな女の子の物語」というイメ―ジを視聴者の心に焼きつけたのはよしとして、救いの手をさしのべるア―サ―少年がリンの心に「素敵な髪、きれいな瞳、白馬の貴公子」=「私の王子様」という原体験を築いてしまったというのは、実に危険な話しであるような…。リンちゃんファンとしては若干、感情的に許せない一幕であったといえよう。
 取り敢えず、ラストシ―ンの雨に濡れて熱っぽいリンのUP、あの(アブナイ)表情に魂を射ぬかれてしまったような、そんな気がしたのは私だけであろうか?

第2話『小さな紳士がふたり』
 正直どうしてセ―ラがこうもかたくなにリンの存在を拒もうとするのか理解に苦しむところなのだが、まぁ彼女の目から見ればリンは明らかに外部から突如土足で屋敷の中に踏みこんできた侵入者なのであって、ましてそれが自分のボ―イフレンドの心をつかみつつあると知れば、とてもいい気はしないことだろう。雨に打たれたリンをア―サ―が抱きかかえて連れ帰った所を目撃したり、エドワ―ドが寝こんでしまった知らせをセ―ラが電話で受けたその場にリンがやってきたりと、なぜか妙に間の悪いシ―ンが続くのだが、それでも救われるのはセ―ラが本当は優しい子であるということをさり気なく示している部分がまま見られるということだ。父親からリンのことを頼まれて動揺する場面や、リンのつんできた花束を受け取り、あわてて走り去るところなんか、少女の心の戸惑いにあらわれた何とも言えない可愛らしさを感ずることができる。第一話があまりに暗かったが故に、なんだかホッとできる一幕でもある。
 ようするに、とりあえずセ―ラの心情の変遷にスポットが当てられた回であると同時に、リンにとっては自分の味方であるア―サ―やエドワ―ド、あるいは彼等の母親の存在(これが少女の抱く〃レディ〃の観念と見事にダブるのだナ)に気付くという、大切な話しであった。

第3話『招かれざる客』
   「教えて! ママが死んだってホント!?」
 ついにモ―ドリン、メアリ、トマスの三悪が登場。早くも激しい意地悪がリンの身にふりかかる。ああ、オソロシイ。一体この親子はどういう感覚で生きているのか、ものすごく悩むところなのだがともかくじんじょ―な神経でないことだけは確かで、久々に悪に徹しきる悪役の登場は身に興奮を覚えるゾ。エア・ガンでリンちゃんをペシペシ撃ちまくるところなんて、エキサイティングに可愛そうだものなァ……(なんなんだ一体)。 モ―ドリンの口からもれる「いずれあなた方の母親になる」説もショッキングであったが、更に強烈なのは、いたいけなリンに対して母親の事故死を正面から宣告してしまったあの衝撃的シ―ンである。ママは用事で遠くへ行っていると信じている少女につきつけられる言葉の刃。ウソ、ママは死んでなんかいない!! 錯乱するリンの肩を抱いてセ―ラは、苦悶の中で「あなたのお母さんの思い出を大切になさい……」とだけ告げる。それは自分の母親の記憶すらとぼしい彼女の切実で真証な言葉であるわけだが、あの場面でこのような答えしかしてあげられないセ―ラの心の内の辛さを察すれば至極やるせないというべきか、胸のつまる思いがする。
 裏を返せば、いつかは母親の死という事実を身に引き受けてリンは生きねばならぬわけで、そのことを思うと、敢えて冷淡に事実を告発してしまう人物、悪役となるべき人間も必要とされていたのであろう。いずれにせよ、モ―ドリンの参入で予定された波乱の舞台が幕をあける……。

第4話『ママの忘れ形見』
   「ねぇ連れてって! ママのいる天国へ」
 ママが死んでしまった────  というこの衝撃の事実を前に、意味がわかってかわからいでかリンの心は散りぢりに乱れるのだが、トマス・メアリにいじめられた傷心のリンに救いの手をさしのべるのは、当然ア―サ―とエドワ―ドなのである。どうやらエドワ―ド君はすっかりリンちゃんにご執心のようであるが、当のリンはどちらかというとア―サ―になついている。兄弟揃った時の彼女の反応の違いが、だから少女マンガなんですよ〜、わかって。で、トマスの嫌がらせに対し敢然とくってかかり、ついにはキツイ一発をお見舞するエドワ―ドの姿は、思いつめたる小さな紳士といったところだが、リンにはそれが不思議である。彼が自分を守ってくれたという事実の裏に一体どういう感情が働いているのか……というコトまで、幼いリンは立ち入って考えることができない。ただ、彼はア―サ―と等しく「味方」なんだなというところで納得して、この英国の地にとどまることを決心するのです。ううう、リンちゃん早く気付いてあげてネ。彼の気持ちに。
 しかし、しか―し、リンを白馬に乗せて教会へ行ったのは兄であるア―サ―であったわけで、つまるところもう勝負はついているんだわな。うん。こ―いう場合、ホント第一印象というのが大切なのかもしれない。ママは天に召され、そしてリンに形見を残した……それがレディへの扉の鍵なのである。その宝石を手にした輝く少女の瞳は、「レディ」というキ―の向こうに如何なる未来をみつめるものであろうか? 異母姉たるセ―ラも又リンの味方となってくれそうな様子で、思わず安堵である。 

第5話『トマスの悪だくみ』
   「大変! 助けて エドワ―ドが大ケガ!」
 エドワ―ド君が一ポイントかせぐ回。(コノコノ)
 セ―ラお嬢様の絵具が切れていることを知ったリンは、町の雑貨屋まで青の絵具を買いに行く。その帰り道、たまたまアレクサンドラに手を焼くエドワ―ドに出くわした……というわけで、エド君はリンちゃんをお馬に乗っけてお屋敷まで送ってゆくわけです。で、このアレクサンドラという白馬がなかなかゲンキンなヤツなのであって、エドワ―ドの言うことは全然きかないくせに、リンにはすっかりなついていて、その気配を素早く察知し一目散に駆けつけるというありよう。リンちゃん乗っけてればおとなしく言うこと聞くし、障害物も飛び越えていいとこ見せてくれる、というワケで、ど―もこ―もあまりに人間的な四つ足のケモノなのであります。ついでに書いておくと、リンちゃん抱きながら手綱を引くエドワ―ド君がとってもとっても嬉しそうなのでして、オイコラ! アブネ―ゾ。うなじ見て赤くなるなよ、オメ―わ。……なんつってしかし、気持ちはよ〜く、わかるのであった。ぐぐぐ。
 しか―し!! そこへしのび寄る黒いカゲ、トマス。こやつ、エア・ガンを改造してタマの威力をUPさせ(カオのカゲ何とかしろってば)、アレクサンドラを狙い撃ち! 驚き跳ね上がった拍子に背中の二人はほ―り投げられ、リンをかばったエドワ―ドは、ろっ骨にヒビの入る重傷を負う……。というわけで、悪いのは全てリンだということにされてしまい、暗いおしおき部屋行きなのだ!! ぐお〜、かわいそ〜。「リン悪くないもん!」(出た〜!!)
     泣きじゃくる少女に、明日という日はあるのか?

第6話『誤解されたまごころ』
   「信じて! リンは悪いことしてないの!!」
 一矢報いる!!
 セ―ラのとりはからいで屋根裏部屋から出されたリンは、ひょんなはずみでトマスがアレクサンドラを撃ったのだと知り、くってかかる! が、押し倒された彼が手にケガをしたことで更なるモ―ドリンのげきりんに触れ、リンは再び反省室入りとなってしまう。真実を伝えようとしても、誰も自分のコトを信じてくれなくて、一人薄暗い部屋で泣きじゃくるリンがとっても不幸……であるし、どうしてすぐに彼女を信じてあげられなかったのか、セ―ラ! まだリンに対し、一抹のわだかまりが宿っているのだろうか。
 されど、トムが〃事件〃現場でエアガンの玉を見付け、リンの主張が正しかったことが裏付けられたところで、ア―サ―は一芝居うつ。彼のおどしにひっかかり、あわてふためいて証拠いん滅に這いまわるトマスとメアリは、「捜しもの」を眼前につきつけられ、青ざめて逃げ去っていくのだ。イヤハヤ、痛快! 
 てなわけで全ては自分の絵具の為に起こったコトだと知ったセ―ラの両の目からは涙がこぼれ、ほほをつたう。いざ、モ―ドリンの部屋へ殴りこみだ!! というわけで、未亡人をギュッという目にあわせるあたりが、かなりそう快なのである。全編通じてナサケナイまんまの悪役達にも、けっこう笑いをさそうものがあり、何にしてもリンの心が皆に伝わったということがすこぶる重要である。事件を通じて周囲の人達から堅固な信頼を獲得するにいたったことが、何より素晴らしいのだ。
 泣き疲れて眠ってしまった少女のほほに、そっとそっと光が差す……。

第7話『レディへの誓い』
   「いけないの? ア―サ―を好きになって」
 ついに三角関係の顕在化!
 リンがア―サ―とあまりに親しくしている様子に、セ―ラは何だか自分の大切なものを彼女にとっていかれたような気がして動揺を隠せない。いつでも明るく元気にはしゃぎ回っているリンは男の子の目をすっかり魅きつけているが、自分は体が弱く、日陰で静かにたたずむしか能が無い。だから、キットいつかア―サ―はリンの元へ行ってしまうのではないか……というような旨のことを耳元でうるさいようにささやくメアリの腹心あふれた悪魔の忠告に、セ―ラの心は複雑にゆれる。折しもア―サ―からの連絡があり、今日、エドワ―ドの退院祝いティ―パ―ティ―を伯爵家で開くということで、セ―ラとリンが招待されたのだが……。
 メアリがリンに耳うちする。「セ―ラに嫌われたくなかったら、ア―サ―と仲良くしてはイケナイ」と。確かに、それは真理なのだ。言われるまでもなく、三角は出来上がってしまっているのだから。しかし! あっさり一方的に身を引いてしまうのは、リンの幼さか、優しさか、甘さか!? そしてそれで問題が解決するものなのだろうか?
 オ―クの木の下でたたずむリンを見付けたセ―ラは、妹のけなげな心情に涙しながら「あたしもリンも、ア―サ―が好き! 今はそれでいいの。彼が素敵なレディを選ぶその日まで、二人ともレディになれるようにがんばりましょう!」と訴える。メアリが敢えて問題箇所をつついたことで、健全な関係を回復してしまう辺りが皮肉である。でもさ、エドワ―ドが居る限り、ア―サ―はリンを選ばないだろ―ネ。

第8話『あこがれのロンドン』
   「いや! お姉さま 早く帰ってきて!」
 パ―ティ―の帰り、急な熱を出して倒れてしまったセ―ラは、モ―ドリンの実家の手配で緊急入院とあいなった。娘の病気を心配して、リンとセ―ラのパパ、マ―ブル卿が飛行機ですっとんでくる。普段は仕事が忙しくてほとんど画面に登場しなかったが、今回は優しいパパの表情をじっくりと追っている。
 不穏なのはモ―ドリンの動きである。セ―ラの入院先も彼女が手配したということで、完全に主導権を握ってしまったのだ。加えて、いつの間にかちゃっかりとマ―ブル卿の父親であるウオ―バン候爵にも対面しているところが抜け目ない。モ―ドリンの目的とは、地位と名誉有る家柄を手に入れることであり、マ―ブルの後妻に入る為に莫大な持参金を実家から持ち込む気なのだ。折しもウオ―バン家は、積年の栄華空しく、今はすっかり斜陽にある没落貴族であり、一門の象徴たる城までも売りに出さねばならないところまできている。この状況を打開するには、こちらもモ―ドリン家の財力が必要なのだ。
 かくしてじいさんとおばはんの利害は一致し、照準がリンのパパに合わせられる! ジョ―ジは父の陰謀に屈するか、それとも娘達の笑顔を選ぶのか……
 つまるところ「レディレディ」は、〃お家の事情〃の物語なのである。涙を秘して笑顔で、エジンバラへたつ汽車に乗った父を見送るリンのけなげな表情に、感動してくれたまえ。(セ―ラ姉さん、あんた、倒れているバヤイじゃないぞよ!)

第9話『愛のクリスマスカ―ド』
   「ひとりぼっちで悲しいクリスマス」
 日本に居た頃の素敵な夢を見ていたリンがブレンダの声で目を覚ますと、窓の外は白銀の世界! 今日はクリスマス・イブなのだ。既に屋敷じゅうの人達が、モミの木を取り囲んで胸踊らせている。しかし、しかし、例によってモ―ドリンがしゃしゃり出てきて、「セ―ラが入院中に派手な大騒ぎは許しません」と釘をさすのだから、陰険この上ない。そういう自分はしっかりウォ―バン候爵とのパ―ティに赴いているわけで、なんならばこのおばさん、ウオ―バン候と再婚すればすりゃいいのに、と思ってしまう。ね、そ―でしょ!?
 クリスマスの夜だというのに、パパはお仕事で帰らない。(余計な事だが、ど―いう仕事してるんだろう?)オマケにセ―ラ姉様は病院のベッド、という具合に、ちょっぴり寂しい気分のリンちゃんなのだが、モ―ドリンが出掛けてしまえば遠慮は要らない!! 特別のお洋服ですっかり着飾って、キャンドルサ―ビスの後は、エドワ―ド・サンタのお出ましだ。そしてカ―テンの影からはア―サ―も現れて、今宵一夜は楽しいダンスパ―ティとあいなったわけ。リンを思いやる周りの人達のあたたかな心づかいが嬉しい。パパとセ―ラから届いたクリスマス・カ―ドを胸に抱き、リンは家族と離れてはいても、人々の愛情に包まれて幸せの渦中にあった。いつまでもこの思い出を忘れないで……。
 いい話しなんだけど、も一つこうインパクトが無いなと思ったら、いつものリンちゃんいびりが無いんだな。う―む、逆に一人ぼっちの病院でクリスマスを迎えたセ―ラは、さぞかし寂しかっただろ―な……。

第10話『雪の中に魔女が舞う』
   「ママをとらないで 雪の魔女さん」
 う〜ん、これはどう解釈していいのであろ―か? さしづめ「おとぎの国のリンちゃん」といったところである。全てはリンの見た悪夢ということでいいのかな?
 ラグビ―の試合にて、トマスのチ―ムがエドワ―ドのチ―ムに敗退してしまったことのハラいせに、メアリはこっそりリンの大切な宝物であるママの形見の「カギ」を奪ってしまう。更に陰険なことには、カギを失くしてあわてふためくリンに、「このままじゃパパにもセ―ラにも嫌われるわ。学校に忘れてきたんじゃない?」と耳うちし、吹雪の中カギを求めて村まで出かけて行くリンの姿を見て、彼女はほくそ笑むのである。この小悪魔〜!
 執念のリンは、雪の中で魔女に出会う。それ程までにカギが欲しければ闘って勝ち取れと言われ、リンは小さなカサでもって雪のパワ―と懸命に戦うのだ。強情なまでのリンの強さがはからずも発揮されるが、それは少女の正義感や家族愛の強さから来るものなのだ。根性〜!!
 この大雪の中、出て行ったからには死んでんじゃないのか、という意見にびびったメアリは、己れの罪業を隠すべくコッソリ「鍵」をリンの宝箱に戻す。一方、雪の中、あのオ―クの木の下で行き倒れになりかかったリンは、駆けつけたアレクサンドラのおかげで魔女との戦いにも打ち勝ち、一命をとりとめるのである。つくづく運が強い娘である。
 しかし、結局のところ事件の真相は伏せられたままなので、今一つ釈然としないわけだ……。

第11話「パパ おば様を愛しているの?」
 出た、久々の反省室送り! このパタ―ンが出るとがぜん、お話しもノリが良くなるのだから、罪な物語である。今回、サブタイトルには全く意味が無く、珍しく外している。 メアリとトマスの家庭教師としてこの屋敷へやってきたアグネス・ケラ―なる人物は、たまたまリンの部屋に迷い込んだこまどりの化身としての役を担う。彼女という「外部」の目が冷静に事態をみつめる時、嘘で固めた悪役達の仮面が一枚づつはがされていく様は、痛快である。(それ以上でもそれ以下でもないが…)
 厳しい家庭教師を追い出そうとたくらんだ兄妹は、リンのクレパスで先生の大切な写真に落書きをし、罪を小さなレディになすりつける! かくしてモ―ドリンの怒りは又もやリンを屋根裏部屋送りにするが、罪を否認し続ける少女の態度に、教師は何かひっかかりを感じていた……。
 クレパスで汚れたメアリのハンカチをみつけたミス・アグネス・ケラ―は真相に気付き、兄妹を問いつめる。しかし、盲目の母親はこの件を逆恨みして、教師を即刻解雇してしまうのだ。真相を明らかにしようとしているアグネスに対し、人の話しを一切聞こうとしないモ―ドリンの態度こそ諸悪の根源なのだが、多分、まともにあたっては自分方が不利になることを察知しているのではなかろうか。
 ……この悶々とした状況を一気に裁断するのが退院してきたセ―ラであり、彼女が「この館の主人は私です。」と乗り込んで来る場面が、最大の見せ場である。なんと胸のすくようなシ―ンであろうか。さしものモ―ドリンも屈伏せざるを得ないセ―ラの威厳が、素晴らしいと思う。(ど―でもいいが、セ―ラがずっと入院していたのもやはり、セ―ラを館から引き離しておいて留守中に内部をぎゅうじろうという、モ―ドリンのたくらみが働いていたのだな。)
 ラストシ―ンで去って行くアグネス先生がかっこいい。小さなレディに祝福をこめながら、こまどりとともに冬枯れの並木道に消える。う〜ん、何だったんでしょうね、このお方。

第12話『春を呼ぶリンの冒険』
   「秘密がいっぱい 屋根うらの冒険」
 ジョ―ジに訪れた一週間の休暇。
 彼は久々にイギリスへ帰り、リンとセ―ラを連れて親子水入らず、デボンシャ―のバ―ナ―ドおじさんの別荘へと訪れた。海の香りがする、自然に囲まれた素晴らしいお屋敷である。果たして彼は、モ―ドリンとのことを話すために子供達をこのような所まで連れてきたのであろうか? セ―ラの心は、いつ話しが切り出されるのかと、もやもやしっぱなしであった。
 暖炉を囲み、バ―ナ―ドとジュディスが、セ―ラのママであるフランシスのことを語らう。大学で知り合った線の細いロマンチストな乙女。それがフランシスである。しかし病気で早くに亡くなった為、セ―ラは母のことを何一つ知らないのだ。たまたま起きていて話しを聞いていたリンが間髪入れず自分のママのことを語った為、セ―ラはうらやましさからつい、リンに冷淡な態度をとってしまった……。
 セ―ラの為にフランシスの物を何か捜そうと、リンはこっそり屋根裏部屋へと上がる。驚いて皆が駆付けた時、折しも腐っていた梯子が崩れ、リンは転落! あわや、という所で父親のジョ―ジが抱きとめ、難を逃れる。
 対じするセ―ラとリン。厳しい顔をしたセ―ラが強くしかりつけるのかと思いきや、涙ぐんで抱きしめ「あなたは大切な妹なんだから、こんなことしちゃダメ」と言う辺りが、彼女らしい。自分の為にリンが懸命に捜し出してきてくれた、フランシスの書き込みの入ったフル―トの教本を手にセ―ラは、自分もこの本を使ってフル―トのレッスンを始めると約束する。異母姉妹の間の心のわだかまりは、それ以上のきずなによって解消され、二人は一緒のベッドへ……。それもこれも、リンのくったくの無い全身にみなぎる「愛」がなせることなのだ。心優しい娘達に幸あれ。
 是れは、私がシリ―ズで最も好きなエピソ―ドである。

第13話「なぜ!? おじい様に会えないの!」
 先週の続きで、バ―ナ―ドの別荘から帰る途上、ジョ―ジは父の住むお城を訪れることにした。自分の娘リンを正式に面会させようというはからいなのだ。しかしウオ―バン候リチャ―ドは、孫娘であるリンに会うことはできないと言って、つっぱねる。何故に? ……それより、モ―ドリンとの結婚の承諾を強く迫り、その顔色にはあせりの色ありありであった。ジョ―ジが訪ねてくると知って、モ―ドリンを紹介する意味のパ―ティを開くべく、身内や親族一同の招集を既にかけていたのだ。しかし、リンのパパはハッキリとこれをつっぱねた。
 内容が高度に大人達の政治的色合いを帯びているので、こういうものに興味の無い私など退屈なのだが、ここで特記せねばならぬのは、リンとイザベル大おば様との出会いである。奇しくもリチャ―ド(おじい様)の若い頃の肖像画の前で、二人は偶然に出会う。母親が居なくても、明るくけなげに生きているリン……彼女が、絵を見ただけで「この絵のおじいちゃまも大好き!」と言ったことは、おばを大いに驚かせた。そしてイザベルはリンのことをすっかり気に入り、彼女のことをおじい様に必ずお話しすると約束してくれたのだった。実際イザベルはリチャ―ドとは実姉弟であり、リチャ―ドに対し唯一発言権を持つ人だ。しかも若い頃には、父の反対を押して自分の好きな人の所へ嫁入りした経験を持ち、ジョ―ジの姿勢にも好意的なのだ。事の成り行きのカギはどうやら彼女が握っていそうだし、翌日にひかえていたパ―ティも、イザベルおば様の機転でウオ―バン候の健康かんばしくないのを理由に、中止を申し渡されるのである。この人がリンの本性を理解し味方についてくれたことは、何よりも心強いと言える。
 一方おじい様は、どうもウオ―バン家の跡取り息子が欲しいというのが本音のようで、「リンに会う」=「リンの母親美鈴の存在を認める」ことを恐れているのだろう。しかしアンタ、モ―ドリンを一族に加えようもんなら、トマス,メアリに財産・名誉もろとも持っていかれるのが、オチよ。

第14話『雨の中! お願いセ―ラ倒れないで』
 リンがこの英国でこれからも暮らしていける為にはこの国での教育が必要と判断したパパは、学校の面接の為に特注の洋服をプレゼントしてくれた。学校へ行けることが嬉しくて仕方の無いリンは、新しい服を着てすっかりうかれながら姿見の前をクルクル回っていたが、そこへメアリの放った泥足のプリンスがとびこんできたから、さぁ大変!! 服のコサ―ジュは引きちぎられ、洋服は泥ですっかり汚れてしまう……。これを見てほくそえむメアリ―とトマス。
 リンが水で汚れの広がった服を抱きしめて部屋のスミで泣きじゃくっているのを見付けたセ―ラは、彼女の為に村まで出掛けてゆく。真夜中に扉を叩き、店の主人に、懸命になってしみ抜きを頼むセ―ラ。折しも天気がくずれ、外はすっかり嵐となってきた。胸に付ける為の野バラを求めて、セ―ラは更に店から店へ訪ねて歩く……。
 土砂降りとカミナリ    この天気の中歩き回ったら、体の弱いセ―ラはキット倒れてしまうとメアリに言われ、リンはいても立ってもいられなくなって夜の野道へとび出して行く。病弱で学校に行けない姉の前で、学校々々とすっかりはしゃいでしまったことを悔やみながら……。
 結局、何も困った事態は起こらず、帰りの道すがらリンはセ―ラの乗る車に拾われて事無きを得るが、例によってセ―ラはリンを抱きしめ「あなたの為ならこのくらい……だって私の妹なんですもの」とのたまう。感動は感動なのだが、何となく物足りない気がするのは、ひょっとしてもうひとひねり足らないせいか。それとも私が二人の不幸に慣れきっているのだろうか? うう。

第15話『どうして!? リンは学校に入れないの』
 今日は学校の面接の日。しかし、連れ添いにはセ―ラでなくてモ―ドリンが……というわけで朝から出鼻をくじかれたかっこうである。
 面接と言っても小学校なのだから、別に口頭試問があるというわけでもないらしい。モ―ドリンは校長室をさっと見回して早速寄附の話しをやらかすし、校長先生は気の弱そうなおっさんだし、教頭は典型的な教育おばさん風だし、まぁまぁとっても楽しい顔合わせである。で、子供達との協調性を見るべく、しばらくほっといて様子を見ることになって……(さて、大人達はこの間ど―いう話しをしてたのかは、敢えて問いませんが)鬼ごっこに誘われたリンは、のっけから楽しく走り回るのである。う〜む、何てノリの良い娘なんだ。おまけに、一緒に逃げていたアイリスのスカ―フがジムに引っ張られてほどけ、風に飛んでしまった為、彼女の大泣きを止めるべく、池のほとりの木によじ登るリンちゃん。彼女はおとなしくって素直な娘と思ってたけど、子供達の間ではけっこうワイルドな性格だったりするのだな。フシギ。慌ててすっとんできた教頭先生もろとも池へボッチャンするシ―ンは笑いを誘いますが、何ともリンらしい1コマかな。
 学校での失敗に悔やむリンちゃんですが、マギ―先生や校長先生の印象はかえって良かったようで、友達の為にがんばった彼女は無事、入学を許可される! しかもこの嬉しい知らせをもたらしたのは、わざわざ電話で学校に問い合わせてくれたパパなのだな。オメデト―、リン!
(でもさ―、どうしたって子爵家の娘が不合格になる気、しないよネ。)

第16話『ア―サ―! お願いセ―ラを助けて』
 絵のコンク―ルのお話し。
 ブリティシュ・ア―ト・コンク―ル青年の部に出品することを父にすすめられたセ―ラは、決意して、リンの肖像画を描く。野バラを抱いて白いチェア―に腰かけるリンの姿は、まさしく
天使のようであった。一方あのメアリも、モ―ドリンの肖像画を出品することとなっており、コンク―ルの舞台は二人の対決の場となりそうな雰囲気である。小さい頃から専門の絵の手ほどきを受けたメアリ―の技か、あるいは病弱なセ―ラが趣味として描き続けて養った感性か? 出来上がったセ―ラの絵を見た時、メアリは青ざめる。彼女は一目で、セ―ラの絵が数段、自分のより勝っていることを悟ったのだ。
 〆切り当日、ロバ―トがロンドンへ車で運んで行ったキャンバスは、包装を解くと真白であった! 負けることをおそれたメアリがすりかえたのだ。刻限は今日の六時迄。果たしてそれまでに絵を受付けに通すことができるか!? 間に合うと信じて、ア―サ―は全開でアレクサンドラを駆り、ギリギリで汽車に駆け込んだ!!
 コンク―ルの発表日、審査員をモ―ドリンが買収しただけあって、メアリの作品は見事に一位へ輝く。しかし! 委員長は一位の上に更に、特別グランプリを発表した………セ―ラ・ラッセル「野バラの天使」   堂々の優勝である。この辺り…オヤ? と思わせておいて期待通りの結論を繰り出す演出効果には、してやられたという気がするが、もし一位の子がメアリでなかったとしたら残酷な展開である。あるいはセ―ラのか細い神経をいたぶっているとしか思えぬ。パパは会場前でぶざまに倒れて動けなくなるし、何かと波乱含みなコンク―ルであった。(こんなイベント無かった方が、みんな幸福でいられたんじゃない? 余計な競争心をあおるのは良くないことと思います…)

第17話『捨てないで! ひとりぼっちはイヤ』
 ジョ―ジが過労で倒れてしまったため、にわかに屋敷の周辺があわただしくなる。銀行への負債こげつきのため、夜中に借金取りが催促にやって来る。そこへ、きぜんと立ってこともなげに借入金の代替わりの契約をするモ―ドリン。なまじっかこのおばはんの親父が金持ちであるばかりに、話しはやばい方へとばかり進むのである。
 いざお金がからめば、もうここの女主人は私とばかりにモ―ドリンはマ―ブル館の人達に指図を始め、更に人員整理を宣言する。ガソリン代が惜しいからと言って、リンを町まで歩いてゆかせようとする点、こうした些末な意地悪にも手抜かりない(!)未亡人であるが、こっそりリンを車で送っていったトムにまで言いがかりをつけイキナリお払い箱にしてしまったのは、あまりにも非道。つらい時、困った時、いつも相談にのってくれたあの優しいおじいさんが行ってしまう……! オ―クの木の下でたたずみ、トムの車を見送るリンの姿が劇的である。
(マルチも気合いが入る、音楽も盛り上がる。)
 こうして、オ―クの丘はリンにとって、つらいことにもくじけない強い心の証としてステ―タスとして、大切な誓いの場となったのである。
 ともあれ、トマスがリンに、「お父様やセ―ラが悲しい目に会うのもママが死んだのも、全てお前のせいだ」とヒドイことを言ったがために、メイドのジルが彼をひっぱたき、あえなく彼女はクビになってしまう。また一人、リンの味方が屋敷から消える。高まる危機感の中、リンは自分がどうしたら良いのかと激しく苦悶する。「リンのせいで、リンが居るばっかりに、みんなが苦しんでいる………」結論は、次回へ。
 
第18話『ウソでしょ! みんなリンが悪いの?!』
 「マ―ブル館の女主人は、まだ私です。」
……偉そうに屋敷の者に指図をするモ―ドリンに対し、毅然と自らの立場を明言するセ―ラの態度は、一種の決意表明でもある。さしものモ―ドリンもこれにはビビって、リンがネコを飼うことを認めてしまうのだから、いやはやたいしたものだ。(私も驚いた。)セ―ラって、ただ病気で倒れたり、ふさぎこんだりしてるだけが得意技の女の子じゃなかったのネ。
 ところで、密かにア―サ―と娘のメアリの接近をはかるモ―ドリンではあったが、いくらメアリの方がご執心といっても、ア―サ―はてんで相手にしてくれなくてふくれたりするのがけっこうオチャメ。メアリにもかわいいところがあります。で、乗馬大会で優勝したア―サ―がセ―ラを乗っけて走るシ―ンでは、やっぱりこの組み合わせで決まりだろ―な―と思ったところで、いきなりラストシ―ンで暗転。ア―サ―にすがりつき、涙するセ―ラ。「リンをおじいさまに認めてもらうためには、お父様がモ―ドリンと結婚するしか方法が無い…。」という告白を、間が悪くリンは立ち聞きしてしまう。
  みんなが自分のために困っている……と受け取ってしまうリンの心情ももっともとはいえ、本当に悪いのは誰なのか、なぜこんな悲劇的な事態が生じてしまうのかという点にまで思い至らぬのは何とも悲しい。リンがまだ幼過ぎるのが何よりも不幸なことである。

第19話『リンもうだめ! パパが結婚するの』
 ウォ―バン公爵にとり入ったモ―ドリンは、いよいよもって屋敷でわがもの顔にふるまう。これに乗じてトマス・メアリの横暴もエスカレ―トし激しいリンいじめが展開してしまう様は、人の心のあさましさとえげつなさを彷彿とさせる。裏庭で雨に濡れながら一人ぼっちで掃除をするリンのいたましい姿には、思わず「うおおお!」と吠えたくなってしまうのだ。「リン泣かない。」と言いつつ涙してしまうリンちゃんのけなげなかわいらしさが、これでもかこれでもかと同情をかきたてる。リンちゃんおしおきシ―ンは、このシリ―ズ最大の見せ場(!)であり、「かわいそう、かわいそう」と言いつつやっぱこれがなければ胸ときめかないし、面白くはならないのだ。(ひ、ひどい発言!)
 印象強いのは、罰を受けたリンにセ―ラがかけた言葉で、「これからも、もっとつらいことがあるかもしれない。でも、どんなことがあっても私はいつもいっしょよ。だってリンと私はこの世で二人っきりの姉妹なんですもの。」と言って抱き合う二人の姿には、激しく感情を揺すぶられる。逆境においてリンとセ―ラが固く結びつき合うことこそ、この物語の真の目的であり、視る者に愛情の尊さ強さを訴えかけるのだ。感動すべし。

第20話『ごめんねセ―ラ! リン日本へ帰る』
 ジョ―ジはついにセ―ラへ、自分がモ―ドリンと結婚しようと思っていることを話した。セ―ラは涙ぐみながら、自分の決意を語る。「男爵未亡人は嫌いだけど、リンがイギリスに居られるためには我慢する―――。」かくしてジョ―ジとモ―ドリンの結婚が正式に決定するのだが…。
「も―すぐあたくしの子供になるんですもの。」
というモ―ドリンの悪魔のセリフにショックを受けるリン。そりゃ、そうでしょう。モ―ドリンが母親になりトマスやメアリが兄姉になったりしようものなら、リンの人生はお先まっくら、絶望に閉ざされてしまう。そんなオソロシイ事態はとてもじゃないが想像することすらはばかられる。ああ、こんな展開が許されて良いものだろうか。舞台はいよいよクライマックスにさしかかり、状況は考えられるかぎり最悪な方向へとつき進む。そしてこの忌わしい成りゆきを全てリンという少女が召来したのだとしたら……「お前なんかいなくなっちまえばいいんだ。」というトマスの言に、リンは一つのヒントを得た。ア―サ―やエドワ―ドやパパの優しい面影が少女の心に去来する。ロンドンでの幸福な時間のことを思うと、とても素直にさようならは言えそうもない。でも、でも……リンが日本へ帰ってしまいさえすれば、パパもセ―ラも悲しい思いをしなくて済むんだわ………
 思い悩むリンの心情表現のモンタ―ジュ。そしてオ―クの丘でトムの声が聞こえた時、リンが見上げた大木のカット等々、味のある演出が素晴らしい。この盛り上がりなくして、リンの涙は語れません。いいよね〜、ウン。 

第21話『さようならイギリス』
 「レディ レディ」が秀作となり得た理由の大部分は、この最終回に帰依するところが大きい。えてしてシリ―ズものというのは、それまでのノリが良ければ良いほど終わらなければならない矛盾との間で葛藤が起こり、最後は期待外れになるケ―スが多いのだが、レディレディの場合シリ―ズが短期間で終わった分、ラストシチュエ―ションに集約されるドラマの力学はほぼ完全なバランスを保持する。そしてそれは、これからの彼女の未来を開放的に語るものであった。だから愛の賛歌としてのこのシリ―ズに我々は、納得をもって拍手を贈ることができるのである。
 「リンさえ居なければ、パパはモ―ドリンおばさまと結婚しなくて済む。」
少女の決意はかたい。彼女は、ジョ―ジが結婚の話しをもち出そうとする場面で先手を打った。「リン、おじいちゃまやおばあちゃまやマ―君に会いたい!」 
 そう、心にも無い嘘であるか否かはともかく、日本に対するホ―ムシックを演じて見せたのだ。驚いたジョ―ジは、それでも納得し、パ―ティをすっぽかしてリンを日本まで送ろうと決意する。彼自身はリンをイギリスの候爵家の一員としてずっと育てる決意を美鈴の墓前で誓うのだが(このシ―ンの美術効果に感嘆せよ!)、リンの内証は、もう二度とイギリスのマ―ブル館へは帰らないつもりなのである……
 そのことを大人達は知らない。ただ一人、馬小屋でリンがアレクサンドラに語りかけるのを聞いてしまったエドワ―ドをのぞいては…。
 日本へ帰る為、空港へ向かうリン。動物のカンでそれを悟ったのか、アレクサンドラが大暴れを始める。決心してマ―ブル館へ、真実を告げに向かうエドワ―ド。そして、そして……みんながBMWで空港へかけつけた頃、ジョ―ジとリンは搭乗改札を抜ける頃であった。間に合う!! 動く歩道の上にセ―ラは、求めている親子の姿を見つけた!(以下サイレント)
 改札員に事情を話し始めるア―サ―。しかし待ち切れずにエドワ―ドがゲ―トを突破。つかまえようとする職員。状況を判断して、ガ―ドマンのかく乱の為ア―サ―も包囲を破ってコンコ―スへ走り込む。みんなの注意が二人に集中しガ―ドが解けた所で、セ―ラが素早くその場をかわしてジョ―ジを追う。だが一人、彼女の腕をつかみ、しきりに何か言いながら制止させる。ここで、セキを切ったようにセ―ラの叫びが沈黙の映像を破ってこだまする。
「リ―――――ン!!!!」
 この瞬間カメラはコンコ―ス全体をふかんする位置に切り換わり、セ―ラに対して人々の視線が集中する様子をまざまざと見せつける。驚くべきことに、その場に居合わせた人々の〃影〃が、セ―ラを中心として全て放射状にのびているのだ。これにはハッキリ言って、ド肝を抜かれた。これ程見事な〃瞬間〃のとらえ方を私は他に知らない……。
 セ―ラがかけ寄り、リンを引き止め、日本に帰らなくていいと告げる。父親は、幼い娘が自分やセ―ラのことを思ってこんなことをしでかしたことを知り、もう二度と結婚はしないと誓う。そして親子三人、新しい生活をやり直すことになるのだ。カンペキなラストシ―ンではないか! 未来を見つめる彼等に、これ以上の終わり方はもう、あるまい。レディレディは、それこそ「血のきずな」こそがメインテ―マなのだから……。
 勿論未解決の部分もまだ有るのだが、そういったものがどうでもいいと感じられてしまう程、リンの笑顔が素晴らしかった―――   そうではありませんことか? 
                            
    (了)
                   文責:瀬川あおい
                 

         [あとがき]
 『レディレディ』全話へ、一通りコメントをふってみました。必殺各話インプレッションでございます。まぁ、これをやらなと気が済まないというか、尾張小牧の本じゃない!…みたいな風がありまして起草したわけなんですが、残念ながら『ハロ―!』シリ―ズにまで手が回りませんでした。だって入稿〆切が実は今日なわけで、しかもさっき印刷さんから電話で催促が来た…んすよ。もうタイムリミットなんですよね〜。尤も、ハロー! レディ リンのシリ―ズは前半部をほとんど所有していないので、完全なものはどの道作れなかったわけなんですけど……とりあえずやる意はあったということで、ゴメンナサイです。
 それにしても今回は、久々の「黄金コンビ」復活でございまた。すずのさんは今、某サ―クルに亡命してますが、又帰ってきてくれるかな? …今一不安ですが、皆様、呼び戻せるように祈ってて下さい。それでは又、ドロシ―と魔女っ子でお会いたしましょう!!

 

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