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「魔法の天使クリィミーマミ」各話コメント

瀬川あおい


 第1話 フェザ―スタ―の舟

 「まみ本」パ―ト1参照のこと。
 作画といい、声といい、台詞といい、性格といい、1話の優はひどいな〜。 以後の彼女のイメ―ジとのギャップがきつくて………「な、なんで?」
 「エイリアン」や「未知との遭遇」や「ソラリス」といった、異星人ファ― ストコンタクトものってわりと好きなんだけど、これは……う〜ん、フェザ―ス タ―のイメ―ジシ―ンがあまりにすごくて、これから毎週こんな連中がゾロゾロ 出てくるのかという、無為な不安を視聴者に与えるのであった。ところで、ピノ ピノの言ってたくちびるの上の窪みというのは、ひょっとして鼻の穴のことだろ ―か? ウ―ム、なんか違う気がする。
 ロ―ラ―スティックを初めて見た時は、東京にはあんなすごい玩具が存在し ているのかとえらく感心してしまった、おちゃめなポクであった。 

 第2話 スタ―誕生!

 これも「まみ本」パ―ト1参照。
 くりみヶ丘の道路には、向かって右側に道路標識が有る。さしずめ一方通行 路だったのだろう。(本当かな〜。)
 エライと思ったのは、優が変身する時に描くト音記号がちゃんと左右反対に なっているところである。で、どうしてト音記号なのかというと、やはり後で歌 手になるための伏線だったのだろう。ところがフェザ―スタ―の魔法は、「パン プルピンプル歌を下さい」と頼むと、なぜか曲だけが出てくるのである。歌詞が 無いのでラララとハミングするマミ。しかし誰一人疑問に思わない。なぜだろう ……。
 なんでもいいが、街へ出かけていってすれちがいざま見知らぬ人に、「かわ いい?」と聞いたり「出会いはいつも炎の如く唐突だ。」等と言って女の子をさ らうようなマネはしないように。尤も相手もマミファンである場合、この限りで はない。キット。
 余談だがうちの親はアンテナの有る無しで優とマミを区別している。

 第3話 デビュ―!デビュ―!!

 お―い、ほんまにマミのデビュ―だよ―。え―のかな―。と言いつつ、そう ならなきゃ話は進まんわな。
 「あ〜ア、えらいことになった。」とぼやきつつ、次の瞬間には「うふっ… …」と微笑むマミ。あ〜、この子、根っからのアイドルだな〜と、実感。
 それにしても何だかんだ言いつつ無能と言われる木所は、常にパルテノンプ ロ最高の商品のマネ―ジャ―をやっている。それだけプロダクションが零細とい うことかしら?
 そ・れ・と・クレ―プ屋でみつめあう立花と優。じっと見入る立花の瞳。少 し微笑む優ちゃん。「キミ、カワイイネ。きっと美人になるよ。」キラリ……… 。ああああ、社長やっぱりロリコンだったんですかねェ。こういう危なっかしさ が、マミの魅力でもあります。

 第4話 スクランブルトップテン

 俊夫君優ちゃんにいわく、「しっかしお前、胸ないな〜。」あ、あたりまえ じゃろが―。どうでもいいが危ないギャグがほいほい飛出すのにはまいったまい った。アハ、ハ、ハ、ハ………
 魔法を貰ってしまったがために問題状況へと追込まれ、これを魔法によって ではなく、優自身の努力によって解決しなくてはならないという、クリィミ―マ ミにおける最も大切なシチュエ―ションが一番顕著にあらわれている話。だから こそこんなおきて破りなスト―リ―が4話にして許されるのであろう。
 一度目は熱の有るふりをしてこっそり家を逃出すことによって、二度目は決 死の観覧車登頂によって、マミは歌うことができる。いやはや、優ちゃんご苦労 様。に、しても、先の思いやられること。
 どハンサム、大金持ち、芸能プロの跡取り……。ああ、されど立花のあの性 格は、彼の全てをぶち壊しているのである。

 第5話 あぶない!?マミの秘密!

 パルテノンプロが売っているのはクリィミ―マミ………その通りなんだけど 、蕎麦と一緒にすると変な感じ。
 マミのスケジュ―ルはマネ―ジャ―の木所でさえも掴みきれないそうなんだ が、一体どんなスケジュ―ルなんだろう? けれどマミって優が学校ひけてから 午後8時までのシンデレラなんだから、そう大したことにはならないと思う。よ うするに木所が無能なんだ。 本題に入るけど、めぐみはあれだけの状況証拠か ら優がマミだとよくぞ見破ったものだ。しかしその後の行動がこわいのであった ………。
 マミの歌うシ―ンは、おおかたの意見と反発するようだが、実に良かったと 思う。やたらリアルなコンサ―ト風景より、こんなコミカルな光景の方が、かえ って安心してしまう。
 ところで、この回めぐみが歌っていたのは明らかに「ラストキッスでグッド ラック」ではなかった。あの曲は確かキャンディ―ズのナンバ―だと思うけど、 気付いた人居ます? しかしどこの世界に、ロ―ラ―はいた守衛さんが居るんだ ろう!

 第6話 伝説の雄鹿

 実は今日の今日迄、52話中これ一話だけ、僕は見てなかったのです。まあ6 話目だからど―せたいしたことにはならないだろうと思っていたら、本当にまあ どうということもなかったのだけど、しかし重要なことに気付いてしまった。こ の回でマミは雄鹿から、物と仲よくする魔法を受取っている。つまり、ていの良 い超能力を身に付けたことになる。(念動力がその主たるもののようだが。)こ の事実だけで、以後マミが変身する以外に使用する魔法の全てが説明されてしま うのだ。コンパクトの呪文がわからなくても………だ。記憶する限り、パンプル ピンプルルミナスタ―(ロ―プウエ―パニック)及びプルルンピンタンパップポ ン(勉強しすぎにご用心)の2回以外は、全てこの能力によってマミはピンチを 脱しているように思うのだが………。
 う〜む、御都合主義と言ってしまえばそれまでだが、うまくかわしているな あ。

 第7話 大親分に花束を!

 水着だ水着だ、うへへへへ………と、だれもが書いているので書くのはやめ ようと思ったんだけど、う〜ん、やっぱり書いてしまった。ああ、なさけない。 この話でのプ―ルは金アミ張りだが、最近の小学校のプ―ルは、目張りがしてあ って一般路からは見えないのである。別に深いイミはないけど、残念ですねェ。
 アイドルスタ―たるもの、芸能界で生残るためにゃあ、やっちゃんの一人や 二人、コネがなくてはいけない。ファミリ―の全面的バックアップによってマミ の人気は益々不動のものとなり、コンサ―ト会場の少年少女は次々にヤクでむし ばまれていくのであった………。う、うそだよ〜。
 茶化してしまったけど、たかがアニメ―ションとはいえ、病床の中から生き る希望を求めてブラウン管をのぞく人間だって、実際に居るのである。マミは全 ての人々にとって希望の星なのだ。

 第8話 渚のミラクルデュエット

 ハンドルを持つと人間が変わってしまうという人は実際に居るものである。 かく言う私の周囲にも………そんな連中ばかりで、あ―怖い。しかしオ―トマで 勝負する心意気が、私は気に入った。
 ようするに、ドライアイスにマミのデモテ―プを投影してピンチを切抜ける クライマックスが問題になっているわけだが、いわゆるネガポジがマミの幻を出 すべきだったという意見には、賛成できない。それでは優とマミの振付けや歌が どうしてピッタリと合うのかということの理由にはならないからである。このこ とを表現しなければ、めぐみの計略が失敗したことにならないから……ね。従っ て、苦しいけれどまあ、賢明な策だったのかもしれない。
 絵がきれいだというのは、やはり良いことだ。後藤作監では、優がとっても 魅力的な少女になるのだよね。ああ、のけぞる………! 

 第9話 ま夏の妖精

 放送が夏だったので、安直に怪談です。
 島田氏らしいウェットな話(……と言うんかねえ)。北欧系の神話に出てく る、すすり泣くバンシ―が日本に現れる。かつて人間の少年と恋をした彼女は、 死んでしまった彼に似た少年をどこへともなくさらっていく妖精なのである。戦 えマミ、愛する俊夫君を守れ! ちゅうわけで、珍しく魔法を使うためにマミに なる優。こんなのが出てくると僕のマミ論はガタガタに崩れるので、ひじょ―に 困ってしまうのである。是非とも無かったことにしましょう。北欧系の洋館が、 朝には消えてなくなってしまったように………。 今日のマミの台詞のヒットは 、「だって慣れてるもの、人間でないお友達。」かな。 う〜ム、なんのこっち ゃ。ラストシ―ンで、優をおんぶした俊夫は「かるいかるい、お前の頭みたい。 」と言うのだが、多分マミのどたまの方が余程軽いと僕は思う。ハ、ハ、ハ…。

 第10話 ハロ―キャサリン

 キャサリン家の裏門は、どうやっても楽に通り抜けられるほど格子の幅が広 いのであった。さしずめ隙間には強化ガラスがはってあったのだろう。
 ネガのリボンがなかなか可愛かったが、それを結んでいる時のキャサリンは もっと可愛いのである。………っと、と、つい本音が。実は私は隠れキャサリン ファンで、放映当時高田明美のかいたキャサリン全身ポスタ―を大切に貼ってい たのだ。実際に本遍を見る1年も前の話である。
 夢の小箱にまつわるエピソ―ドは、なんだかミンキ―モモ的だけど、まあい いか。小箱の中に現れた幻影のネガがキャサリンに真実を問いかけるシ―ンは、 とっても素敵なのだから……。
 ところでクリィミ―マミがヘリにぶら下がって歌うシ―ンが有ったけど、あ んな危なっかしいことを新人歌手にやらせる神経が私にはわからないのであった 。
 ハロ―! キャサリン・シンドロ―ム 
 
 第11話 パパは中年ライダ―

 今回は冒頭に優の着替えシ―ンがありますよ―!(ああ、又つまらぬことほ 、かひてしまつた。) これを見てて思い出したんだが、11話にあやかってSF アニメ研内で結成したブル―ベリ―エンジェルス(みんなマミちゃんのファンの 、よいこのツ―リンググル―プ)はどうなったのだろう。まあ、頭がバイク売っ ちゃったからな〜。
 主人公の両親が夫婦喧嘩をするという、永久不変のパタ―ンだが、はたせる かな森沢家のと―ちゃんか―ちゃんは、普通の人々ではなかった。頼むから夫婦 でチキンランなんかしないでよ。(しかしこれ少女向けのマンガじゃなかったの ?)
 哲ちゃんのバイクはシャリ―かな? それにしても二人共どこで単車を調達 したのだろう。実は物置きにあないなもん隠し持ってたなんて言わんでよ。
 ところでラストシ―ン、哲ちゃんは20年前にこうして二人で走ったと言って たが、あれは明らかに10年前の間違いだと思う。
 「ところであの〜〜 クリ―プ、クリ―プは………」

 第12話 スタジオは大停電!

 う〜ん、なんという話だ。まるで書くことが無いではないか。マミとはいえ たまにこんな話があるから困るのである。土屋のバッキャロ―。オメ―なんかス ケ番刑事でもかいてろ―い。彼は絶対何か勘違いしてたに違いないのである。
 すっぱい屋の梅干しのC.M.は怖い位、めぐみに似合っていた。やはり地だね 。
 ところでモルテンクラブが出してたマミ本「セクシ―ショット」は、多分こ の回のジョ―の台詞から取ったのであろう。………相変わらずあくどいスネ―ク ジョ―だが、(ま、マミの水着を剥ぎとるって〜!? ヒエ―。) 立花は彼を訴 えることはできない。なぜならめぐみが共犯として証拠写真に写っていたからで ある。どうせなら優はジョ―だけを写すべきであった。

 第13話 鏡のむこうのマミ

 終わった後に、非常に感慨深いものが残る作品。マミの影が魔法によって鏡 の中から抜出してしまったことによって、クリィミ―マミ本人は重要なことを語 る。「好きで歌手になったんじゃない。あなたの方が向いているかも……。」「 でも一つだけ約束して。ファンの人達の夢だけは壊さないで。」これらの言葉の 内には、マミがマミであるところの大切な動機が含まれている。偶然によって魔 法を授かり、知らぬ間にアイドル歌手となってしまった少女の、切実な思いがこ められているのである。
 鏡という中立点を取った際の対称位置にあるマミは、自分の思うがままにス タ―としての仕事をし、ファンの抱く幻想ではなく自分のありのままを見て欲し いと俊夫に語った.つまり本物のマミは嘘であると言っているのだ。実際、鏡の 向こうのマミの方が余程率直で人間らしい。又、それ程悪いことをする娘でもな い。ただ、一時の、他人に自分の存在を認めてもらえる自分というものを、享受 しただけなのである。

 第14話 私のMr.ドリ―ム

 森沢優の夢は……彼女の頭の中には、実はああいったものがつまっていたの である。今時なんて純粋で健全な娘なのだろうか。私はしばし感動にむせぶので あった。
 もしもMr.ドリ―ムとともに宇宙じゅうに夢を配って歩くことになってい たとしたら……と思うと、心境は複雑である。あるいは彼女のような娘にはそん な生き方が似合っているのかもしれないが、少女の心を引止めたのは気になる人 、俊夫の存在だったのである。
 OPにもあるけど、優は果たして天使なのだろうか、それとも普通の女の子 なのだろうか。いずれにせよ、彼女は後者であることを望んだのだ。
 ところで優と俊夫の白雪姫ごっこの説明の続きが聞きたいと思ったのは、多 分僕だけではあるまい。青リンゴを食べて眠っている優に、俊夫君は何をしたの でしょう?

 第15話虹色の天使
 クリィミ―ステッキは戦闘用の剣にも使えることが実証された貴重なエピソ ―ドである。しかしどう考えてもあれには殺傷能力が無いと思うんだが、マミは どうするつもりだったのだろう。
 この世に7人居て、存在するだけで平和を保っているウ―フニック達。どう いうわけか吉野のおじいちゃまもその一人だったのだ。優はフェザ―スタ―の舟 を見ることができたのだし、きっとそういう家系なのだね。それにしても「お前 はウ―フフニックだ。」と教えられるだけで死んでしまうとは、なんと軟弱な!!  けれどなぜか吉野のおじいさんはウ―フニックでなくなった後も平然と生き ていた。きっとタバスコクレ―プが心臓に効いたのだろう。
 まあなんでもいいが、今夜辺り僕のベッドの下からもクリィミ―マミが這出 してこないものだろうか………。試しに、足の裏に星のマ―クをかいてみたりし て。

 第16話 海に消えたメモリ―

 やりましたね〜。ポセイドナドベンチャ―&十戒。マミの魔法としては最も 派手で巨大なエネルギ―を要した回ではなかったろうか。
 皇太子あゆみ君も、6年の歳月には勝てなかった。危機に瀕した時「俊夫! 」と呼ぶ優と、彼女を支える俊夫の姿を見た時、彼は6年ごしの思いに終止符を 打つことを決めたのである。難破船とともに沈んだ金のイルカとともに………。 冷静に考えれば、森沢優は俊夫のために玉のこしに乗りそこなったのである。け れどそういうことにこだわんないのが優ちゃんの素晴らしいところ。あったかい なあ。
 冒頭のあゆみが逃げるシ―ンのBGMがわたしは好きだ。あの単調なエレキ (orシンセ)の音が、気分を盛り上げるのである。

 第17話 時の眠る森

 ユニコ―ンと美少女という永遠のテ―マを扱った小品。「すんごいのがでて きちゃったな〜。」とネガも言っているが、実際あのユニコ―ンは何者なんだ。
 設定はとても美しく、わずか14才で死ななければならなかった美也が絵の才 能をユニコ―ンに授かり、天才画家として僅か一年で一生の人生を燃やし尽くし たというエピソ―ドなど、涙が出るほどに良い話なのだが、いかんせん脚本と演 出がとんでいる。マミのおせっかいな行動原理も納得できないし、つくづく惜し いなあと溜息をついてしまうのであった。クリィミ―マミであったがために不当 な扱いを受けた設定だね。
 それにしてもあいかわらずクリィミ―ステッキは無敵だ。頼むから早いとこ ろ歌手活動に専念して欲しいものである。
 永遠に時が眠った森の中でたたずむ美少女とユニコ―ンのビジョン………誰 か壮大なイラストにしてくれないかなあ。

 第18話 ざしきわらしの冒険

 感覚がじゃりん子チエしている……ナシテ、クリィミ―マミに日本的民話の 世界が持込まれなくてはならないのか、その意図がまるで明確でない。ただ、東 京の放送スタジオというざしきわらし伝説とは程遠い世界で一人のアナクロな田 舎少女がはしゃぎ回っていた。そして又、物語の終わりにわらしが電車の網棚で 寝ているのを見ている時、本当に彼女は神様だったのだろうか?ただちょっとば かし人を欺くのが上手な、地方の女の子だったのではないかと、フト思ったので ある。
 なぜなら少女の乗る鉄道に沿って、現代の象徴たる新幹線が走り抜けて行く 。もはや民話の生残る世界はこの世に存在し得ないという絶望感を、そこに感じ るからである。
 に、しても、スタッフの(おそらく年のいった方の)懐古趣味には困ったも のである。冒頭の珍しいめぐみさんのパンチラはかわいい。

 第19話 マミの一番長い日

 はじめから最後まで、果たしてマミがコンサ―トに間に合うか否かというこ とがらだけをえんえんと描いて見せた作品。よくこれだけのことで話がもつなあ と思いきや、結構構成が複雑で我々もパルテノンプロの立花と同じく手に汗握り 画面に見入るのであった。
 にしても、伊藤氏はこの話でなにがなんでもステ―ジカ―をぶっこわしたか ったらしく、ハイウェイバスに乗らせずにマミにポスタ―を発見させ、高速道路 では意味も無くダンプにとっこ―をかけさせ、国道へ降りた車は知らぬ間に山奥 に迷いこみ、不幸にも谷底へおっことされてしまうのである。悲惨じゃ。で、か わりにD.J.ブ―スなるものが登場したため、スポンサ―はクリィミ―マミ変身ス テ―ジマイクを売りだすことになる。(本当かしら)
 井上和彦さんの演技が光っていた回で、特に「ヘリでも鉄人でもゴッドマ― ズでも、空を飛ぶもんなら何でもいい!!」というアドリブは著名。

第20話 危険なおくりもの 

 結局あの老婆は何だったのかと考えるに、トンガリ王国の王族に巣食い、シ ャ―マンをよそおいながら指輪に寄生していけにえの精気を吸取り、2000年生き 続けた魔物だったのだろう。闇の老婆は白き予言者となって蘇る。マミの解釈で は、きっと「幻だったのよ」と言って目前での出来事を否定してかかる。だがそ うでないことを最もわかっているのはマミ自身なのである。
 で、最終的に何を言いたかったのかというと、特に何も言ってなくて、ただ ギャグで押しまくっているのが非常に好感が持てる。望月演出もなかなか笑っち ゃう場面が多いし、作画も良いし、楽しゅうございました。
 ところではじめて知ったのだが、優はちゃんとマミの曲を練習していたのだ ね。

第21話 かわいい恋のパ―ティ

 パ―ティ会場の雰囲気がいかにも上流階級向けで、日本的でないのがよろし い。こういう場面で色々な人々のそれぞれの異性への思いが錯走するシチュエ― ションというのは、何かフランス映画でも見ているような気になるのは僕だけで あろうか。あちらの国ではパ―ティ―はまさしく社交の場ですからね………。
 そんな場所になぜかまぎれこんだ俊夫と優のカップル。めぐみの策謀もから まって、二人は会場の皆の前で喧嘩をしてしまうが、その後の俊夫君のフォロ― がなんともあったかい。
 「どうして、どうして、バカバカバカー!」と、俊夫の胸にとびこんでいく 優ちゃんがとてもいじらしかったりして。
 それにしても立花の言葉にいちいち動揺し戸惑うけなげなめぐみさんが、と っても可愛い。わたしはこの話のタイトルが至極気に入っているのだ。

第22話 みどり君とプップクプ―

 い、一体こりゃ何だ  !? と、叫んだ人は多いでしょう。しかしこれとて クリィミ―マミの最下位を争う大切なエピソ―ドなのだから、無視したりしては いけないよ。偉大なる作品には偉大なる失敗がつきまとうものなのさ。
 それにしてもわかんないのは、どうして最後に優はマミに変身したのだろう かということであったりする。ああ、わからない。一体全体何が言いたかったの だろう。苦悩する脳みそは今にもウニになりそうである。
 要するにみどり君を主人公にもってきたのがいけなかったのだ。彼と同じ精 神レベルの不細工な妖精が意味もなく降りてきてわけもなく人々を混乱に陥れて 去って行った、ただそれだけのことであった。
 あんなこあんなこあんなこあんなこ………

第23話 星のパラソル

 あやせめぐみがパルテノンプロの看板スタ―の地位に執着する裏には、実は かようなエピソ―ドがあったのある。星空の下で未来を語りあう立花とめぐみが 、わ、若い! かねてよりめぐみは社長である立花を『慎悟』と呼捨てにしてい たりすることで、二人の間には何がしかの関係が存在するのだということは予測 されていたが、その謎がようやく解明されたのである。つくづくめぐみさんて可 愛い女だな〜と思ったりなんかして。
 今回マミが使った魔法は実に不気味であった。『マタンゴ』ってみなさん知 ってますかね〜。
 それと『引抜き』について説明するみどり君は、彼にしては随分鋭かった。 あながち彼もばかではないのだなあ。
 ところでパルテノンプロ事務所に貼ってあった『貴子16才』というポスタ― は、ありゃ何なんだ。??

第24話 クマ熊オ―ディション

 思えば僕が初めてクリィミ―マミを見たのがこの話であった。あの時はあま り気付かなかったけど、随所に散りばめられたギャグは相変わらず可笑しい。「 どうして水着を着るのかしら。」「審査員も厳しい目でみつめています。」厳し いというより、どう見てもにやけた目付きである。
 しかしそれにしても、かおるちゃんはちょっと目にも美人だしマ―ルとの交 流も深いし、どう考えても彼女を主役に抜擢することぐらいすぐに思いつきそう なものなんだがなあ……か、かおるちゃ〜〜〜ん! だが、クマが正月に休みを もらってどないするんやろう。
 つまんないことだけど、立花のベンツのナンバ―がシ―ンごとに変わるので 注意して見てみよ―!
 名セリフ「会いたい、会いたいわ………。」Byめぐみ。 

第25話 波乱!歌謡祭の夜

 「マミちゃんすべりこみセ―フ!」「やった―!」キンコンカンコ―ンも、 「優ちゃんイジメちゃダメ―!!」の金網とっこうみどり君も面白いのだけど、 そおいうのをいちいち指摘するのは野暮だから自分で見て笑ってね。やっぱり今 回の見所は優の魔法をのぞいてしまった俊夫君の動揺なのよね。う〜ん、当り前 か……。
 先生も走る師走。街はどこもかしこも大忙し。大はやりのクレ―プ屋クリィ ミ―では、「この忙しいのに優はどこで何をやっているのかしら。」と、なつめ さんがぼやくのだけれど、哲ちゃんの指摘通り彼女もTV局へ走っているのでし た! 年末ということで毎日毎日が慌しく過ぎて行き、さらに相変わらずのマミ 狂いの俊夫には「優なんか絶対にマミちゃんみたいになれない。」と言われて、 おもわず喧嘩。そして仲直りするヒマもない。自分がクリィミ―マミに変身する ことで逆説的に俊夫君の心はどんどん離れていってしまい、又、仕事のために嘘 をつきつづけねばならないことがだんだん優には負担になりはじめていた……。 マミになることに疑問を感じることはすなわち、魔法少女の危機でもある。それ がようやく25話ではっきりと現れたことで、物語は否応なくシリアスになってい くのだ。ポイントはだから、優の心情描写へと移っていく。歌謡祭へ出たくない と言い出す、マミ。あわてる立花社長。一方めぐみはマミをサイン会場へと連れ 出し、自らあたたかくファンに対応して見せることで、歌手という立場の責任と NPB歌謡祭で歌うことの重要性を悟らせるのであった。(う〜ん、めぐみさん って、どうしてこんなに良いのかしら。パルテノンプロを、そして立花のことを 思う彼女の姿が一番美しいのだわ。)
 マミになることの責任とその負担。これがもはやギリギリ限界にまで来てい ることは間違い無かった。しかも俊夫の心がそのことで優から離れてマミへと移 ってしまうことが、優には一番つらかった。だからもうこれで最後にしようと思 った。NPBで歌うのを最後にしようと思った。……そんなことを意図しながら のこれで最後になるはずの変身の時、けれどこともあろうか優の姿を追ってきた 俊夫君がドアの隙間からのぞいてしまった!! 異変が起こり大きなエネルギ―の 嵐が吹きあれた後、変身ステッキは石になて転がってしまった。そして、へたり こんでいる俊夫と、「みんなが待っているから……」と言って走り出すマミ。ま さに波乱含みの歌謡祭の始まりである。
 電話のシ―ンに代表される二人の心の様々なすれちがいの後、俊夫君の優へ の歩み寄りによって変身が見られてしまうシ―ンはとても印象的だ。折しも優が マミになるのはこれで最後にしようと決心したその時であるだけに、作品が大き な転換期を迎えていることは確かなのである。
 それにしてもあの不気味な変身シ―ンを目撃した時の俊夫君の驚きようを見 てあげて欲しい。実際彼の立場に立ったら、つまりおさななじみの子が超自然的 な力をかりて自分の大好きなヒトに変身しているその現場をとらえてしまった場 合、やはりきもったまつぶれるわな〜。なにしろ優がマミであることなんか微塵 にも考えていなかったのであるからして……。で、その後のマミの対応が又、良 い。「見た……?」と、静かに訪ねるマミ。驚がくして言葉がうまく出てこない 俊夫。早くこの忌わしい場と状況から逃げ出したいという気持ちが、歌謡祭会場 へと彼女を向かわせる。(本当ならそれどころじゃないでしょ。)二人のこれま での、マミを仲介とした不自然な関係を一気に精算してしまう場と、破綻を象徴 して虚しく転がるステッキ。さらにそれぞれの思惑をからめとりながら次回の歌 謡祭へとなだれこんでいく様が非常にドラマチックに描けていて、すぐにでも続 きが見たくなってしまう。
 マミの正体は、魔法によってなされる幻想である。しかしこの幻であるはず の彼女が、俊夫と同時にTVの前に居る人々に“見られ”実体となる時、非常な るショックを受けざるをえない。というのも僕らは心のどこかで、魔法なんか本 当は存在してなくて、全ては森沢優の空想で、従って俊夫がそれを目撃するなん てことは絶対にあるはずが無いと思っていたからだ。しかし事実関係がはっきり とし、『優=マミ』が容易に放棄され得なくなってしまった今、(ある日優がマ ミになるのをさり気なくやめてしまえばそれで何も問題は起こらなかっただろう からね。)幻は打ち砕かれて、魔法というブラックボックス化した秘術の内部へ と踏込んで行かざるをえないのである………と、同時に、現実の中で魔法を認容 して語らなければならない優と俊夫の人間関係も、自ずとシビアになってゆく… ……。この二点がそれぞれ26話27話で描かれることになる。果たしてキタイして 大丈夫かな〜。

第26話 バイバイ・ミラクル

 この話しを見た人は、おそらく52話最終回ファイナルステ―ジと較べてみた くなることだろう。マミの秘密にせまり、放送局内を走り回る俊夫。ステ―ジで 歌うクリィミ―マミ。このシチュエ―ションは見事に最終話と対称をなしている 。マミという作品は本来こうなるはずであるという一応の結論が、驚くべきこと にこの2ク―ルの終わりで出されてしまっているのである。優と俊夫の関係も、 又、マミを除いた人々の関係も、ちゃ―んと描かれている。もし、ここで最終回 を迎えたとしても、何の不思議も無い。一応のところは………。
 NPB歌謡祭のステ―ジ上、ショックを押し殺して歌おうとするマミ。だが 一瞬にして猛烈な悲しみが少女の胸をつきあげ、言葉を失わせる。ざわめく観客 席。が、そこへまばゆいばかりの光がさしこみ、ユニコ―ンや永遠の時の森で眠 る中原美也、フェアリ―、ビ―ノ、その他ありとあらゆる妖精や幽霊までもがマ ミを励ましにやって来る!! これまでマミがかかわってきた諸々の非現実的生 命体が、ステ―ジを浮遊する。(う〜ん、れ―せ―に考えれば実に不気味な光景 ではある。)かくして元気を取り戻したマミは、再びマイクに向かって熱唱を続 けるのだった。……こういった所を見ると、26話はこれまでのクリィミ―マミス ト―リ―のうち、妖精だとか幽霊だとかのやたら登場する非常にファンタジック ,メルヘンチックな側面の総括でもあった。なぜかというと、以降のマミでは不 思議にこういった設定が排除され、彼女を取巻く現実的側面、人間関係といった ものが表立って描かれるようになったからだ。その理由を考えるに、マミが魔法 を見られたことで、魔法を失い元に戻ることもできない現実的少女に、魔術を喪 失してしまった魔法少女に、なってしまったこと、そしてこのことを通じてマミ が新たなる脱皮を行ったからではないだろうかと。妖精なんかと同列に数えられ る幻想としての虚像としてのマミ像は既に失われ、そこには一人のアイドル歌手 が生身の少女として存在しているのだ。だからマミはホワイトクリスマスの夜、 街をさまよわねばならない。家に帰ることも出来ず、ただひたすらに悲しみを一 身に背負って彼女は歩き続けることになる。この一連のシ―ンが、作画の高さも あいまって一種異様な迫力をもって見る者に迫って来る。
 先ず書いておきたいのは、審査員特別新人賞を与えられた時のマミのはっと した表情。何かこう、放心したような、虚空を見つめる目と、やはり驚きの感情 を隠せない口もと。一体あの時マミは何を感じていたのだろうか? 例えばマジ カルエミがエミリ―賞を受けた時、彼女もこれに近い当惑の表情をしたような気 がする。エミは魔法によって得たその賞を嘘だと感じ素直に喜ぶことができなか った。しかしマミの受賞時の心境との大きな食違いは、その立場の微妙な違いに よる。エミはまだいつだって魔法を見ずから放棄して、マジカル舞としてやり直 すことができた。しかしマミの場合、もはや彼女は元の姿の優に戻り、その生活 を営むことができない。魔法を失い変身を解くことができなくなった彼女は、も うずっとずっとマミのままでいなくてはならない。(少なくともこの時点ではそ う思っていた。)だからおそらくマミはこの時初めて自分が歌手クリィミ―マミ であるという実感を味わったのではないだろうかと思う。特別新人賞というもの を至極リアリティ―のあるものとして受け取ったんじゃあなかろうか。これまで の魔法によるちょっとしたお遊びというんではなくて、初めて自分の現実的立場 や自分の役目、そういったことに気付くことができたんじゃなかろうか。
 しかし優にとってはそれが悲しい。自分はもう魔法を放棄するはずだった。 もうこれで最後のマミを演じるつもりだった。それが永遠の姿となってしまった 彼女は、元に戻れなくなってしまった自らの運命を恨むしかない。うるんだ瞳で 木所に別れの言葉をことづける、あの表情。車のウィンドウ越し、必死になって 何かを訴えかけようとする俊夫の姿。しかし声は伝わって来ない。そして彼女も 何も答えようとしない。電話BOX。自分の両親にTELを入れる。だが受話器 の向こうでイブに優が帰って来るのを楽しみにしている彼等の存在に触れた時、 とてつもない悲しみがおそって受話器を置かざるを得ない。パルテノンプロの事 務所の扉の向こうでは、楽しそうな人々の喚声が聞こえる。だがマミは、もはや どこへ行くこともできない。不自由な肉体を引摺って公演にたたずむ。絶望と悲 しみの中で、夜は更けていく………。
 まったく見事としか言い様の無いカットの連続におもわず涙しそうになるそ の時、「帰ろう……」と優しく声をかけてくれた俊夫。そしてようやく二人の頭 上に現れるフェザ―スタ―の舟。俊夫には舟が見えた! それはマミの魔法を吸 収してしまったためなのか……!? どんな願いでも一つだけかなえられる知った 俊夫は、優が元の姿に戻ることを願った。何年か後にひょっとしたら優だってマ ミのようになれるかもしれないじゃないかと笑いながら………。あこがれの人を 失いながらも本当に自分が守るべき者を選んだ彼の心情には、何がしか熱いもの を感じずにはいられないではないか。
 魔法と妖精のうごめく非現実的空間と現実的社会の間でゆれうごくこの作品 像は、丁度両者の接点上に位置することで独特の雰囲気をかもし出し、実に素晴 らしいの一言に尽きる。あるいは52話をも越える傑作だとも思えるのだが、いか がなものであろうか。

第27話 フェザ―スタ―へ!

 う―ん、妖精は出るわ竜は出るわで、いつものことながらマミに出てくるフ ァンタジ―色というのには頭が痛くなるな〜と思いつつも、まあこの話以降はあ まりこ―いったシチュエ―ションが見られなくなることから、ファンタジ―のや りおさめとでも思っておけば許せるか………。それにしてもあの感覚にはどうし てもついて行けん。
 お正月。晴着姿の優は俊夫とデ―ト(?)……しかし俊夫君も先回先々回と 信じられないような異体験をしながら、まるっきりそんなことは忘れちゃったと いう風で、相変わらずおもちゃ屋に入りびたりプラモに夢中で、優のおめかしに も気付かないのでありました。優がいずれマミのようになれるのかどうかはとも かく、とりあえず今はこれまでどうりおてんばな幼な馴染みというわけで、彼の 目にあまり入って来ないのかしら。けれどこのような平和な元日にも、異変は確 かに起こったのでした。
 マミにおけるフェザ―スタ―の表現というのは、F.T.表現能力というもんが まるっきり欠如しているにもかかわらず、なりふり構わずに思い付きでやってし まうもんだからいつもぶっとんでしまうのだけど、それにしても今回は構成も良 くなかったし、何で竜から引っこ抜いた矢で星の子を打落として優が受止めたら 魔法が戻るのか、見てて全くわからないのには参った。よ―するに俊夫君の好意 と努力が有って二人の協力で魔法は復活し、残り2ク―ルを又作ることができる ようになれば良かったわけで、その辺りの安易な発想があのような展開を生んだ のかもしれない。25,26話のシビアなスト―リ―がまるっきり無為になってしま った責任はやはり重いと思うんだがなあ。
 で、わっかんないのは、どうして俊夫が優に魔法を取り戻させようと思った かってことなんだな。どう考えても彼にはその必要が無いわけじゃない? 何年 か経ったら優だってマミのように……という風に先回結んだわけだし、優にした って魔法はもう不必要と思ってたわけでしょ。まさか再びマミに現れてもらって ミ―ハ―なファン活動がやりたかったというわけでもなさそうだし、まあ無理に 言えば、優から魔法を奪ってしまった負目かな? けれど彼は別にそのことを思 い悩んでいるのでもなさそうだったし、どうあったってあそこで彼がああいった 行動を起こす内的必然性というもんが感じられない。ウ―ム、さだめしピノピノ と二人きりになった時に、うま〜いこところっと言いくるめられたに違いない。 そのピノピノだが、終始「……しなければならない。」「本当にこうするより仕 方なかったんだ。」という言い方ばかりして、無責任に問題を人に押し付け、自 分に責任は無いという態度を取り、そうせねばならない理由を一つとして述べて はくれないのである。ひょっとしてあの奇妙キテレツな生命体は腹の底で良から ぬことをたくらんでいるのではなかろうか………等と思ってしまう。きっとスポ ンサ―やピエロからマミの話を続けさせろと、裏金が回ったに違い無いのである 。
 星の子を受止めるとそれはルミナスタ―に変わる。見事通過儀礼をくぐり抜 けた優は、記憶を奪われて放心状態の俊夫を見て驚く。「ひとの記憶を勝手に奪 うなんて……あたし魔法なんていらない!」と叫ぶ。が、ピノピノは「パルテノ ンプロの人達やマミのファン等、今マミが居なくなったら困る人達が大勢居るん だ。」等と言って必死にごまかすのである。なんてやつだ! あんなこと言いな がら最終回では、タイムリミットだからと言って無理やりコンサ―ト会場からマ ミを奪っていったではないか。まったくもうこの生物は好き勝手ばかり言って困 る。
 まあともかく何やかやあって、マミになる魔法は元通りに。ただここで気に 入ったのは、変身する直前に「俊夫がくれたんだ…」と優がつぶやくところ。明 らかにそれまでの変身に比べて、魔法に対する認識の違いが見られるでしょ?  こういった細かい配慮はやはりマミだな〜と思って感心してしまう。俊夫君の記 憶を犠牲にしながら、彼の意志によって、優は変身することができるようになっ たのである。そのへんのトコって本当に大切じゃないかしらん?
 勿論、変身によって再び彼がマミに夢中になってしまうというジレンマは続 行されるわけだけど、そこは微妙に意識の違いが有る。その事実を一旦彼が認容 してくれたということで、いずれマミというお仕事が片付いたら彼が優の元に戻 って来てくれることは必至になったわけであろう。(本当かな〜。)
 う〜ん、ともかく25〜27話は無くても良かったというか、無かったことにさ れてしまったのである。まあ、50話以後への伏線にはなったようだけど。

第28話 ふしぎな転校生

 北海道のおおさぶ町からくりみヶ丘へ引越して来た自然児日高守君は、典型 的都会っ子森沢優に対するカンフル剤となるか?
 変身パタ―ンも変わり、新しく再出発するクリィミ―マミにシリ―ズ構成が 与える最高の贈物が、守君である。彼が現れたことでセントレミ―学院初等部で の優の生活が新しく視界に入ってくるようになったのは、何はさておき目出度い 。
 それと、守とネガポジとのからみが非常に多いため、ネガとポジのかけあい がつづく。彼等の会話は長いカットでしかも口パクは無く、声優としてはたいへ ん難しかったんじゃなかろうか。
 に、しても、ネガポジはやっぱり変わった猫だったのね。誰も何も言わんか ったからころっと忘れていたわ。
 ラストシ―ンは東京に大雪が降って優ちゃんがパジャマではしゃぎまわって 終わったけど、あの規模で首都圏にドカ雪が降ったら笑い事ではないだろうなあ 。

第29話 ロ―プウェイパニック

 冒頭に優がマミの声色を真似してパルテノンプロに電話するシ―ンが有るの だが、ここで一つ疑問。マミは自分の声を作っているのか、それとも地声か。前 者はともかくとして、後者の場合少なくとも優はマミの声色を勉強していること になる。やはりTVの録画等
で研究したのだろうか。
 めぐみのみつあみセ―ラ―服もさることながら、マミの七変化が良かったあ 。私としてはセ―ラ―服姿か女子大生風テニスルックあたりが趣味である。エヘ ヘ、けれど監督がイメ―ジピッタリと言ったミニスカ―トはどうかと思います。
 にしても、あのロ―プウェ―宙づり事件で、マミの力持ちは証明されてしま った。大の大人が二人直列。これを片手で支えるマミ! あのきゃしゃな体のど こからあんなパワ―が出てくるのであろうか………。
 「お姉さん、ママの家はまだ?」バタンとこけるマミ。「おお、妹!!」…… と叫ぶめぐみ……あの……  

第30話 前略おばあちゃん

 ハガキの裏の裏がわを読めば、それは表なのであった。木所を田舎のおばあ ちゃんが連れ戻しに来るというシビアな設定であるのに、なぜかギャグで徹底的 に押しまくる演出?)がめいっぱい効いて、全てがお笑いドラマになっているの がすごい。やや悲しげなBGMの効果も逆転して冗談に聞こえてしまうのであっ た。やはり木所というキャラクタ―を描くにはこういう手法しか無かったのだろ うなあ。
 それはそれとして、ルミナウオ―ク…あれはいい。あのけ―はくさが何とも マミ向きで……あわわわ。太田貴子のコンサ―トへは是非とも付けて行きたいも のである。(市販しているのがコワイネ)
 「邪魔じゃなくなったけど……減らないわね。」めぐみのこの言葉を聞くと 、私は押入れにしまいこんである同人誌の在庫を思い出し、顔がひきつるのであ った。赤字なんかで―きれ―だ―!!

第31話 優のフラッシュダンス

 もう何十回見てるのか知れないのだけど、やはり何度見てもこいつはいい。 さすがクリィミ―マミ最高傑作の一つと言われるだけのことはある。優の心情を ことこまやかに表現するためのエピソ―ドの扱いかたが実にうまくて、我々はお もわずマミでない森沢優ちゃんのファンにならざるをえないのである。どうせ良 いのだから、もうゴチャゴチャ言うまい。
 余談だが、どうしてあおいちゃんはアニメ化しないのかと私はこの作品を見 る度に思う……。
 守君の発言も今となってはあぶないなあ。

第32話 二人だけのバレンタイン

 しのだまみちゃんは確かに可愛いのだけど、いかんせんあのせ―かくが、軽 いというかこあいというかぶっとんでるな〜。特に優とまみとが公園で互いに同 じ人間の悪口を言っているとは知らずに俊夫のことをめちゃくちゃ言うあたりが 、そ―ぜつ。女の子ってこ―いう場面では過激なのだわさ。
 ところでこれだけ連続して「まみ」を見ていると、おおかたのパタ―ンに気 付く。つまりAパ―トで「俊夫のバッキャロ―!」という言葉が出て、Bパ―ト の終わりでは「俊夫だ〜い好き」になる。必ずなる。考えてみれば主人公の少女 に明確なB.F.が設定され、しかもそれが現実的意味を持っているというのは、魔 法少女史から見ても唯一マミだけなんであって、案外その辺りが軽快なラブコメ としてマミを成功させている原因なのかもしれない。
 ど―でも良いがO.P.のクリィミ―チョコの宣伝は面白かった。本当にあれ、 商品化すれば良かったのにと思う。マミの写真集もどっかから発売されないかな 〜。

第33話 恐怖のハクション

 珍しくドタバタギャグで迫る回。従ってクリィミ―マミ登場の必要性は全く 無いのに、あわてた優がおもわずマミに変身しようとしてその無意味さに気付く のが、凄い。こんなケ―スはかつて無かったパタ―ンであって、やはりマミでな くては考えられないシチュエ―ションである。つくづくマミっておきて破りなん だよね。
 ともかくネガの巨大化に驚くなつめさんのリアクションが面白いわけで、階 段を駆け降りる背景動画やお医者さんの前でのオ―バ―アクションその他あらゆ るドタバタが、かわいい。おちゃめ。薬を持って走る守君の姿も思わず笑いを誘 うのであった。こりゃあ見てみないことにはわからんべ。
 に、しても、みどり君=あさしおというのは、あまりにまとをえていてこあ い。太ったネガいわく、「すもうでもしようかな。」な―に考えてんだろお。

第34話 スネ―クジョ―の逆襲

 ついにマミの秘密をつきとめたかに見えたジョ―。しかしいくら彼でも、変 身という超現実的現象までは思いつかなかった。
 ドッキリカメラの企画に乗じて見事マミになつめさへ向けて「ママ!」と叫 ばせることに成功したのだが、思いの他なつめさんは若かった。なんせまだ28だ もんなあ………そもそも10才になる娘が居るというだけでも驚きなのに。
 スネ―クジョ―が一人でしゃべりながら立回るシ―ンがいささか冗長で見て いて飽きてくる。何がいけないかというと、あれだけのメンバ―を出しておきな がら、それぞれのキャラクタ―が死んでいるのだ。秘密がばれてくずれおちるマ ミの表情はいいんだけどね〜。ま、何にしてもマミにかかわるかぎり永久にジョ ―は不幸なのさ。

第35話 立花さん女になる

 立花がトッツィ―をやるという話だったので、これはきっと面白くなるに違 いないと思ったら、やはり大爆笑であった。立花の(井上かずひこの)なりきり 演技が実に気持ち悪くおかしい! ま、パルテノンプロ会長と言われる人も、さ すがあの慎悟の父親ということはあって、やっぱりその性格は破綻しているので あった。
 しかしこのギャグの絶妙さはただならぬものがある。まるきり息をつけぬほ ど笑いころげてしまったのだが、ひょっとしてマミには専属のギャグ演出家が居 たのではないだろうか?
 木所も木所で、あやせひとみに人目惚れしてしまうのだが、(彼がこんなに 軽い男だとは知らなんだ。)彼女(?)のことを、めぐみに似ていると発言して いる。既にロンググッドバイの伏線となっているのがコアイ。(というよりあの ひと、普段側に居る人間を好きになる傾向が有るなあ。)
 つけまつげ事件に関しては、俊夫が下手に常識の範囲で思考したのがまずか った。何せマミ世界の住人達はハンパな常識が通用しない連中なのだからして。

第36話 銀河サ―カス1984

 珍しく設定に重さを感じた回。サ―カスというと何かこうエキゾチックでミ ステリアスな印象を受けるのだが、全体を統一する赤色の夕日の色使いといいB GMといい、優と俊夫の不思議な体験をそれらしくもりたてているのが好印象で あった。但しスト―リ―終了後も一体あの銀河サ―カスとは何を目的として、又 どのようにして時空を飛越えて公演を行うのかということは説明されぬままであ る。ペ―タ―ラインナ―という少年についての謎も完全には解けていない……。 解釈法は色々とある。が、1991年森沢優が再びペ―タ―と出会う日にはそれ がはっきりするに違いない。そういうような終わり方をする手法そのものがやは り、うまいと思う。
 本の中に現在進行形の出来事やさらに未来のことまで書かれているのは不可 解でありパラドキシアルだが、推そらく通常の因果律が崩壊する世界での話だっ たのだろう。

第37話 マリアンの瞳

 ひえ―ん、作画が高いよー。うれぴいよー。というかんじで喜んで見るっき ゃないね。オチがオチなだけに嫌いな人は嫌いのようだけど、僕なんかあの作画 の良さでマミがウエディングドレスを着てたりなんかしたら手放しで喜こんじゃ う、どミ―ハ―なのじゃ。ごめんして。
 ティンパニによるO.L.等、演出がのりにのってやりたいことやっているのが よくわかる。加えてあまり真に迫っていたもので私は最後まで結果が見えなかっ たのです。冗談のようなお話しをあそこまで盛上げて視聴者をだましてくれたの だから、確かに良くやったと言えそうね。
 舞台の構造については、いわゆる劇中劇をやって観客にそれと気付かせない ように話を進め、最後にタネあかしをするという古くさい手法だったわけである けど、主人公たるクリィミ―マミが一緒にだまされているというのは仲々面白い 。さらに「おおハインリッヒ、いますぐあなたの元へ……」と言ってマミが短剣 を振りかざすシ―ンでは彼女までもが我々をだましにかかるわけで、このへんの 微妙なサスペンス感覚が見る者をぞくぞくさせてくれます。
 が、何と言っても最高なのはラストシ―ンの「み〜んな、だ―い嫌い!!」と 怒るスクリ―ンの前のマミちゃんのかわゆさではないだろおか。

第38話 ときめきファンクラブ

 マミ親衛隊が着ていた黄色いTシャツ。アレ、いいな〜。但し太い人間が着 るとマミの顔が不気味にゆがむのはきょ―あくであった。
 なんでもいいが井上和彦はギャグをやらせたらメチャメチャうまい! 特に38 話でのノリはすごい。立花の破綻した性格が見事に伝わってくる。彼は若くし て一応そこそこの地位にあるのに、富と権力にあれほど卑屈だというのにはなん ぞ理由が有るのだろうか? 屈折してんな〜。 
 マミのトロンとした顔は、いや―、何というのか、しごくかわいい!の一言 につきるのだった。やはり遠藤作監は良い。僕は彼女の絵がいっちゃん好きだ。
 ところで立花はこれまでどうしてプロダクション公認のマミF.C.を作らずに いたのだろう?

第39話 ジュラ紀怪獣オジラ

 ゴジラ対ミンキ―モモがなんぼのもんじゃい!ちゅ―わけで、キョ―フのオ ジラ対クリィミ―マミの登場である。しかしよくもまあこのような話を平然とT Vシリ―ズで作ってしまうもんだなあと、改めて伊藤氏のわやくちゃな感覚に感 心してしまったのであった。巨大なチラノサウルスがその全貌を現した時にはさ すがになんだこりゃ〜、と思ったもんだ。改めてマミという作品性の幅の広さに 感心………していられるわけないでしょうが。なつかしの東映特撮映画ごっこな んて、20代の者のお遊びとしかいいようがないと思う。ま、早い話しが失敗作な んだ。
 それにしても立花の相変わらずのバイタリティ―はすごい。オジラの存在を 知って、何とか生捕りにしマミとタイアップをはかろうなんて……わやややや。 けっきょくなんきょく無敵のクリィミ―マミは魔法でこの大怪獣すらも霧の彼方 へ追いやってしまったのだ。他にも色々言いたいことが有ったようだが、全然見 ている者に伝わってこないので、この際無視することにする。(そ―いう意味で 「SOS!」は同一コンセプトでの再チャレンジと言えるな。)

第40話 くりみヶ丘小麦粉戦争
 
 後半アップテンポとなったお好み焼き屋とクレ―プ屋の戦争風景が小気味良 くて快感。特に、何とか巻きかえしをはかろうとあらゆる手を尽くす『火の車』 の様子がハチャメチャで笑いをさそうのであった。が、一番おかしいのは「まだ 安心しちゃだめだよ―。」と言いつつ、次ぎのコマでは「ヌハハハハハ」とご― かいに笑うみどり君の、の〜てんきさではなかろうか。
 ところで不思議なのは、一体スネ―クジョ―と久美子さんはどのようにして 知り合ったのだろうかということ。う〜ん、どうして芸能レポ―タ―とお好み焼 きチェ―ンの財閥のお嬢様があないな関係になったのかまるで見当がつかない!  しかも久美子さんの方が比較的積極的であるというのがますますわからない。 一体どうやってたぶらかしたんだ!! けれどジョ―もお好み焼きを焼いている 姿は意外に家庭的なんだよね。
 個人的にはお好み焼きの方がクレ―プよりコストパフォ―マンスに優れてい て、好きである。が、マミのサイン入りクレ―プならついつい買ってしまいそう でこあい。(買っても食えんな〜。)

第41話 勉強しすぎに御用心

 赤木ゆ―いちろうというネ―ミング自体が(しかもすごいハンサムという設 定が)スタッフの年代を物語っている。が、それをいちいち指摘する私も……。 ゴーカートには気を付けて下さい。
 立花のぐちゃぐちゃな性格をさらにもう一歩つっこんで歪めたような赤木先 生の言動が、私は好きである。私立教師はバイト可とはいえ、自分の副業のため に学校を利用するとは……もっとも、どっちが彼にとってバイトなんだろ〜ね。 こういうア―パ―な先生ばかりに囲まれていたら私もこれ程教師嫌いにならずと も済んだろうにと、つくづく思う。
 柳川脚本は毎回何かしら教訓的な話になる傾向が有るが、演出はそれをうま くかわしていると言える。気持ちの良い娯楽作品として見れるむきは大いに評価 出来るが、いずれにしたって望月はワンパタ―ンじゃのう。一見してそれとわか ってしまうのは、なんとかならんじゃろうか。
 真面目にやると、実は優のことを一番親身になって心配してくれていたのは 、他ならぬ守君であったのだということが判明した回。彼はあまりに森沢優に近 付き過ぎてしまったため、最終回EDで再び北海道にとばされる羽目に陥るので ある。でないと、将来彼女が守君にかたむく公算はあまりに大きい。そう思わせ る程、今回の守君は優しい良い少年である。
 が、担任の先生の家庭訪問が有るからといって、いるすを使い、三時間も教 師を締出し、トイレにも行かない、守君の家族とは、一体何者だろう。

第42話 ママの思い出ステ―ジ

 なつめさんは若くて美しくて素敵な女性だな〜と思っていたら、やっぱり実 は過去にこんなエピソ―ドを持っていたのですね。
 それにしても、優の代打でステ―ジに立った哲夫が緊張して歌えない→なつ めさんが歩み寄り十数年前と同じようにフォロ―する→司会の久保が捜していた 藤野なつめだと気付く→これに乗じてマミが審査員席を立ち、二人の脇について 歌う………という一連の流れのドラマチックなこと! 親子三人のこの素晴らし い合唱が僕はたまらなく好きだ。
 けれどひたすらかわいそうなのが、十数年来なつめさんを捜し続け、見付け たら結婚までまでも申し込もうとしていた久保さん。女性の美しさって時には罪 作りなことなのじゃ。森沢優の中にかつての藤野なつめの面影を見た彼が突如「 優ちゃん、大きくなったら結婚しよう!」等と言い出すんじゃないかと思って、 私はゾクゾクしているのだった。いかんな〜、ポリアンナの見過ぎだ……。
 ところで「私他にもやりたいことが有るんです!」とたんかきって久保の元 を去ったなつめさん。そのやりたいことというのがカミナリ族だったとは……エ ライお方じゃ。

第43話 走れ優!カメよりも速く

 ゴジラも有ったことだし、ここは公平を期して当然ガメラも出るわけである 。だが、クリィミ―マミ史上類を見ないハチャメチャな展開に、人々はあっけに とられるのであった……。これだけマミ世界の通常から外れた脚本も珍しい。で きればこういうものすごい話はシリ―ズの前半でやって欲しかったと思う。だっ たらバリバリの存在も許せた。時間管理人なんてまるで松本零士だね。
 時間操作マシ―ンという概念はハインラインの“時の門”あたりだろうか。 かの作品では手帳がパラドックスを形成していたわけだが、マミ43話においては 森沢優の“ユウ”というネ―ミング自体が、一方向のベクトルを持った連続体と しての時間における因果律から浮上してパラドックス化している。まあ、これを 筆頭にあらゆる矛盾がこの脚本中を埋めているのだが、いちいち言っててもキリ が無いので自分で見付けて笑って下さいな。 大人になった優がマミにはならな いことが設定されたのは、実はこの話においてだったというのはあまりにも有名 で、そのことが唯一の取り柄ではなかろうか。

第44話 SOS!夢嵐からの脱出

 オジラで失敗した伊藤氏の、同一テ―マでの復讐戦。結果は……まあ成功と 言えるけど、あまりこいうの乱発するとしつこいって嫌われるよ。
 太田貴子のブリッコ声優が頂点に達した回で、優のしゃべりくちが可愛いと いうかキショイというかのけぞる感じで、おもわず甘栗が食べたくなる筆者なの であった。一話からは考えられない位の上達ぶりは認めるのだが、やり過ぎはど うも良くない。これだから変な連中がマミに熱中し始めるのである。あああああ !
 スカ―トの中にお星様やルミナスタ―を隠すというのが何とも……と、伊藤 君が昔指摘していたが、あいつもいい加減ビョ―キだなあ。
 やはりヘリコプタ―での立花,めぐみ,マミ,みつどもえのコメディがみど ころであろう。

第45話 悲しみの超能力少年

 あまりにもありそうな設定とテ―マにのけぞるのだが、マミにはちょっと重 すぎたようで、結局派手な超能力戦で幕を閉じたのであった。が、あの巨大な黄 色いお星様……誠の超能力をはねかえしていたんだそうだが……は、わけがわか んなくて不気味じゃった。ピノピノもなんちゅうもんを出すねん。
 で、結局誠の超能力は封じ込められたのであろうか? それともかの恐怖を 忘れた時、又あんなことが起こるかもしれないのだろうか? ラストシ―ン、ク リィミ―に誠が「ゆ―ちゃんあそぼ―。」と呼びに来るシ―ンでなぜかしら不安 感にかられてしまった。
 誠の攻撃をかわすマミがえらい迫力有ったが、一体いつからマミは少女戦闘 ものになったのだろう。行け! 我等が超能力戦士クリィミ―マミ。魔法の戦士 ビュ―ティ―メグとともに地球を守るのだ!

第46話 私のすてきなピアニスト

 僕のサ―クルで魔法少女研究(特に作画部門)の第一人者であるD介君によ ると、クリィミ―マミ52話中の最高傑作なんだそうである。ことあるごとに「や っぱピアニストが最高やで―。」とうす笑み浮べる彼はあまりにも有名だ。
 一方、一般の友人にこれを見せたところ、最後に優と俊夫が仲良く並んで歩 いて行くのを見て、「一体この30分間にはどんな意味が有ったんだろう……。」 と言って、しきりに困っていた。以来彼は二度とマミを見てはくれない。
 確かにレベルは高い。演出も作画も乗っている。無論脚本も……だがあぶな すぎる。やはりマミでやるべきではない。これについては総論でも述べた通りで ある。
 10才の優が16才のマミの世界を垣間見る……ということでは、純粋な意味で 成功なんだろうけど。
 だが、演出の暴走は私には許せない。

第47話 マミのファ―ストキス

 キスシ―ン?と叫ぶ時の、くちびるのどアップがえらく不気味で印象的だっ た。恐怖のたらこくちびるが襲ってきそうでこあい。「くせになるぞ〜。」
 監督はゴリラみたいでわけわかんないが、考えてみたらマミに出てくる監督 とかディレクタ―とかは、どっかおかしいのが揃っている。なにかしらスタッフ の心意気を強調したような人物ばっかりなんよね。
 夜中に便所下駄履いて駆け出す優も、空中をつっきって飛んでくる竜の首も 良くわかんね―が、とにかくマミのファ―ストキス成立というわけ。だけどその 相手が俊夫というのも、相変わらず出来過ぎという気もする。
 ブル―メアリの伝説、城田まさき……うわさの彼女も既に一児の母となろう としています。時のたつのは早いもの。(離婚しました)

第48話 優とみどりの初デ―ト 
 
 わしこれ好きやねん。
 ギャグも面白いし、優ちゃんは最高に可愛いし、みどり君の意外な一面が見 られるしで、すっごく好感が持てるんだよね。加えて守や俊夫、みどりといった メンバ―の微妙な関係がうまく表現されているしで、ラストシ―ン付近でのもた つきさえ無ければ、完ぺきと言っても良いと思うのだ。
 ああ、ねまき姿でベッドによこたわって、「かわいいよ。」ちゅうて、ネガ の頭を撫でる森沢優が、優が、ゆうが、ユウが………う、ううう、やっぱり遠藤 麻実はすごいで!! 最高だ。仕方無いので一応、私的ベストオブクリィミ―マミ 大賞をこの48話に授けることにしようっと。やっぱり異論有る人、居るかな〜。 でもね、マミ世界の本質ってやっぱりこの辺りにあると思う。必ずしも望月+後 藤コンビが完ぺきだとは、全く思わないですよ。
 みどり君が見てたあのカウボ―イの話を全編見てみたい……。元ネタは何だ ろうか?(そんなのあるかなあ。)かの無国籍さと無敵のパタ―ンが興味をそそ るのだわ。

第49話 潜入!立花さんちの秘宝

 ばあやが不気味だ、ばあやが……一体あの人は何年生きているのだろう。
 宝に対する立花親子のあまりに卑屈な根性が笑いを誘うのです。やりように よってはもっと面白くなりそうな話なのですが、何せかの最終回三部作の前の息 抜き作であることも手伝って、あまり高い評価は与えられていないよう……。し かしマミのメグミの木所のレポ―タ―は面白かった。
 ところで最後に俊夫が「そ―いえばマミちゃんどこへ消えちゃったんだろう 。」なんて呑気に言っていたが、まだ洞窟で迷っていて生き埋めになっていると いう事態は想像しなかったのだろうか。
 優達がみんなで埋めたタイムカプセル。みどりのクレ―プの包みというのは きょ―あくであったが、マミのサイン入りハンカチはちょっと惜しい気が……。

49話 マミがいなくなる…

 クリィミ―マミが世間になげかけた衝撃はあまりに大きかった。そしてマミ をめぐる業界やファンの人々の数は計り知れない。だから一年の期限付で貰った 魔法のタイムリミットが今刻一刻と迫っている時、描いておかなければならない 事柄はあまりに多いのである。今回はそういったマミをめぐる社会的状況と、そ の引退騒ぎが引起こす周囲の混乱とをじっくりと描写することに力がこめられて いる。それは一種のドキュメントとして異様な興奮の中でミステリアスに進行し ていく。かのドラマを成功させているのは非常に良く練りこまれたシナリオと、 大胆で迫力有る映像設計と、独特のシビアな作画方法であることは今更言うべく もあるまい。マミの持つ世界、マミにおいて追求しなくてはならない脚本上の留 意点、そういったポイントがシリ―ズ終了にあたってようやく明瞭に理解されて きたと言える。まさしく別れ際になってこの作品は一つの頂点を迎えるに至った 。クリィミ―マミTVシリ―ズはここにおいて究極の完成度に辿り着いたのでは なかろうか?
 マミがいなくなる……クリィミ―マミがこの世界に存在する上での基本的矛 盾。優がマミであるという非現実的状況から引き起こされる構造上の問題点…… それがあらわになるのは、皮肉にも彼女がこの世から消えようとするその時であ った。7月1日、香港コンサ―トの計画がパルテノンプロの手によって立てられ る。だがマミはもうその時にはどこにも居ないはずである。パスポ―トにせよ、 マミの名義で取ることはできない。こうして、極めて現実的社会の中で矛盾を抱 えながら生きるマミの悩みと動揺を、異様に作為的なカメラワ―クが盛り上げて 行く。しかもこの感覚は次第にめぐみや両親や友人や会社の人々に伝幡して行く のである。めぐみの女の勘がマミにまつわる不安の影を鋭く感受する様は、見て いて怖い。
 主人公の優は、もうすぐマミで居られなくなること自体には問題を感じてい ない。むしろそのことに衝撃を感じ取っているのは周囲の人間達である。思えば いつだってそうだった……優がマミになったきっかけは、少女のちょっとしたい たずら心である。マミが歌手になったのは、立花が、そして大衆が彼女を欲した ためで、森沢優自身に歌手としての執着は存在しない。むしろ優にとってマミで あることはこの上ない負担となっていた。マミを続ける限り、彼女には整合性を 求めて走りまわる義務が重くのしかかていたからである。クリィミ―マミ引退の 必要性は結局そのことの裏返しであり、マミが実社会の中に現れてしまったこと に関しきっぱりと責任を取って、マミの消失を矛盾なく人々に受け入れさせるこ とが優の最終課題であるわけだ。
 しかしマミと立花との交渉はうまくいかない。あくまで7月のコンサ―トに かける立花に、マミのあせりは通用しない。様々なやりとりと相克の中で優は悩 み続ける。が、この平行線のバラスを崩した第三勢力が現れ、そうしてようやく ドラマは進展をみる。徴候としての、週刊誌の記事という引退への外圧により、 マミの休業を納得する立花。更にマミ本人の誘拐騒ぎ……。クリィミ―マミサブ キャラクタ―の利用により作品に奥行きを持たせながら、ハイソサイエティ―ク ラブという勢力を作り出す。それはマミの意志を推進するための合法的“力”で あったわけだ。そうしてファイナルコンサ―トの会場があのセントラル競馬場で あるという事実が、新たなる波紋を残しながら話は終わる。
 クリィミ―マミの持つ社会性、そして責任という言葉が出る背景には、マミ のスト―リ―が所有する極めて合法則的側面が存在する。マミはそもそもの登場 からしてパラドキシカルだが、そのことを現実的に解決せねばならない世界でも あった。そしてそのことがドラマをシリアススト―リ―として盛り上げ、嫌が上 にも人々を興奮の中に巻き込むことができたのである。だからマミが歌手である という現実は極めて重い。スタ―の持つ虚像性とマミとはうまく噛み合っている が、それを支えているであろう現実的側面、即ちプロダクション,会社,スタジ オ,宣伝機構,マスコミ,等々を納得させるには、マミの立場は極めて不利なの だ。ステ―ジの上の妖精であることは簡単なことだが、そこから一歩離れて社会 的に生きようとすると、マミは現実から浮き上がってしまう。その辺りのことを 丁寧に大切に克明に逃げを打たないで最後まで描ききっていることが重要なので あり、クリィミ―マミを成功させている最大の要因なのであろう。49話ではそ ういったことをしっかりと主張するのが目的だったのだろうし、これから起こる であろう衝撃的映像を観客に納得させるための伏線でもあったのだ。すなわちこ のドラマがなまじっかなフィクションではない。内部に堅固な骨格を持っており 、マミをめぐる“現実”を体験してもらうためのシビアな作品であるのだと、ス タッフは映像の中で主張するのである……。

51話 俊夫!思い出さないで

 先ずはNPB歌謡祭でのエピソ―ドを有効に伏線として活用してくれたこと に感謝したい。こういう、つぼを押さえた脚本作り、あるいはシリ―ズ構成とい うことに無頓着な作家が、最近はあまりに少なすぎるから……。
 1983年12月23日のあの出来事で優の正体を知った俊夫。その事件の 記憶を抹消し、優に魔法の猶予期間を与えたのは、確かに俊夫の意志だったのだ 。しかしこのドタンバにきて、その俊夫自身が事態に戸惑いながらも意識的に優 の秘密に迫ろうとしているのである。それはあまりに皮肉な展開であったが、こ れを機に俊夫と優との関係というマミシリ―ズの最重要なポイントが掘り下げら れることになる。
 “かわいい恋”として描かれていた優と俊夫の恋愛ごっこ……それがこの事 件を通して別な展開を見せ始める。特筆すべきは俊夫の方の感情の変化であろう 。これまで優のことは単なる幼馴染みとして軽視し、一方偶像たるマミに熱狂的 に夢中になっていた少年が、あらためて身近な少女の重要性に気付き態度を変え る。もうマミの姿を追うのはやめよう……そんな風に考えてしまう俊夫の感情の 変化の裏で、明らかにマミの存在の動機が薄らいでいた。なぜなら優がマミにな り続けようとしたきっかけの最大原因が、2話で俊夫がマミに惚れ込んで熱中し てしまったことにあるからだ。優は俊夫がそう望んでいるからこそマミになるの である。基本的に……。だがマミになり続けていたこの一年が、優の立場を次第 に変えていった。そのことは異様に忙しくなったマミの仕事風景と、夜遅くまで 帰れなくなって両親をごまかそうと努力する森沢優の姿に投影される。そこでは マミをやめるにあたっての責任が彼女にふりかかっていた。マミはもう優一人の ものではないのだ。マミがこの世から姿を消すにはどうあってもファイナルコン サ―トを成功させねばならない。さもなければ人々は納得の内にマミを解放して はくれない。そして優自身の心の内におけるマミに別れを告げるためにも……全 ての決着は6/20のコンサ―トにかかっていたのだ。
 玩具売場で優に対しすねてみせる俊夫。「もう手遅れかもしれないけど、マ ミちゃんにあんまり近付かないようにしようって……」「ばか!そんなこと言っ たら泣いちゃうから!!」すがりつく優の必死な形相は少年に何を感じさせたのか ? こんなに一生懸命マミを演じ続けているのに、そしてファンのために最後の ステ―ジを成功させようと思っているのに、そうした努力を全然わかってくれな い俊夫。だが、そういった優の悩みに今の彼が気付いてしまうことは許されない 。あと少し、あと数時間、彼が記憶を取り戻さない時間が必要なのだ。マミが最 後のフレ―ズを歌い終えるその瞬間こそが、全てをあかしても良い時なのだ。そ れまでは二人の関係を精算することは許されない……。
 マミをめぐるこれほどドラマチックな展開を思うと、伊藤氏がこのシリ―ズ をもってして語ろうとした事柄がこの一点に集中していることがはっきりとわか る。彼の書くところのマミは、単なる優の玩具であるとか、遊びであるというの ではなく、はっきりと優&俊夫の関係に介入してくる二人の心情のステイタスな のである。優はマミを通して俊夫への感情を具現する。俊夫はマミを通して優の 心を享受する。そしていつか優の意図をくみ取って優自身の存在を求めるように なる……そのためには脚本としてのある一定の形式が必要で、マミをめぐるスト ―リ―というのは、俊夫が優というガ―ルフレンドを単なる幼馴染みから愛情を 注げる一人の少女として認識を変えるための手続きなのである。そして脚本の論 理から言って、その構成はラストコンサ―トに向けて一気に集束せねばならない 。だから優はマミとしての自分にピリオドを打つためにも、ファイナルコンサ― トへのこだわりを持ち続けねばならないのである。たとえそのための行為が今の 自分の生活をおびやかし、ひいては俊夫の心をいためる結果となったにせよ……
 もし優が魔法を遊びと考えていたならば、玩具屋で俊夫に自分の気持ちをは っきりと告白した時点で、即座にマミを放棄することができたであろう。しかし それが許されないということは、やはりマミが俊夫への感情の具現化の手段とし て少女に重要な意味を持たせていると思うのだ。俊夫が好きだ。だからコンサ― トを見て欲しい。そして彼女の歌う最後の姿を見届けて欲しい。なぜならこうし て魔法の期限ギリギリまで歌うことができるのも、27話で俊夫が自分の記憶を 犠牲にしてまで優に魔法を与えてくれたから……二人の固いきずなとしてのマミ が、そこにあるのだから……。
 マミは最後の変身を遂げる。俊夫はまだ、こだわり続けている。明らかに終 わりの時は近付きつつあった。感情の決着の時が訪れていた。しかし果たしてマ ミの存在を精算することができるのか? それはつまりマミが社会への手続きと して引退を宣言できるか否か、ラストソングを歌い終えることができるか否かに かかっているのである。

52話 ファイナル・ステージ

 すごいコンテである。かつてこれ程の圧倒的臨場感というものをドラマにも りこむことに成功した作家が他に居ただろうか。ミクロ・マクロの視点を自在に 駆使し、コンサ―ト会場の全体と個々人のマミをめぐる感情とを同時に克明に描 写する手腕は全く見事としか言い様がないし、そのことがブラウン管の前に座っ ているはずの我々の心をファイナルコンサ―トの会場に、フィクションの空間に 、ごくごく自然にしかも強い力で引き摺り込んでしまう。手に汗を握り事件の動 向を見守らせてしまう。そしてマミのラストナンバ―を共に叫び、要求させる。 我々にとってのマミへの気持ちに決着をつけるためにも、彼女は最後の一曲を歌 わなくてはならない。クリィミ―マミの持つ不思議な力が、あらゆる人々をこの スト―リ―に同化させ、登場人物とともに“場”を共有させるのである。その瞬 間にフィクションは現実を通り越し、共通感覚によって構成される永遠の象徴空 間を提供する。それは極めてイデアリスティックな魂のための世界である。我々 はブラウン管を媒介としながらも、マミの引退を至極直接的に肌で感じているの だ。
 降りしきる雨。電気系統の破裂。しかし場内は増すます盛り上がりを見せ、 コンサ―トを見守る人々の興奮は絶頂に達しつつあった。ついにマミは最後の一 曲を宣言する。だが、そのときその場を揺るがし出現したのはフェザ―スタ―の 箱船。巨大なエネルギ―が会場に暴風雨を巻き起こし、暗雲を切り裂いて降下し てくる。と同時にその光景を見ることのできた俊夫は、脳裏にかの27話でのフ ェザ―スタ―のシ―ンを蘇らせる。彼の少女への叫びが雷にかき消されると、既 にマミは舟のなかに吸い上げられていた。ピノピノは魔法の終わりの時を告げた 。しかしマミをめぐる人々の感情はそれでおさまるはずもない。あと一曲、あと 一曲という思いが全ての人々の心を埋める。かくしてピノピノはマミの歌を聞い てみようと、返答した。そうして最後の時を迎えた地上の天使は、デビュ―曲を 歌うべくステ―ジを歩みはじめるのだ。一方、マミの正体についに気付いてしま った俊夫は、巨大な光のリングに包まれた箱舟を見上げる。舟もマミのコンサ― トに花をそえるべく、会場を大光量で照らしだすのだった。マミの元へ俊夫が走 り出す。人々に別れを告げるステ―ジのマミ。誰しもが総立ちでマミの姿をその 一瞬一瞬のきらめきを克明に脳裏に焼付けようとする。「ピノピノ、もういいわ 。ありがとう。」収縮する光に取り巻かれ、彼女は地上を去った。全ての物語の 責任を一身に引受けながら、彼女は姿を消した。俊夫は今一度、マミにむかって 『優ぅーーー!!!』と叫ぶ。ミステリ―のカ―テンをくぐって伝説の世界へと 帰って行ったマミ。ポジもネガも行ってしまった。クリィミ―マミをめぐる一切 のものが物語の中の現実から消えてしまった。そうして残ったのは、俊夫の前に 立つ森沢優という生身の少女だ。あの物語の一切が失われてしまったとしても、 優がそこに立っていてくれる限り、我々の心は救われるはずだ。
 俊夫が駆け寄り、優が彼の口を閉ざし、若い二人が合い合い傘で雨の中を歩 き去る時、ようやく結論づいたこの若きカップルの関係に、我々は心から納得し 、心地良い安心感の中でその後ろ姿を見送れるのである。この瞬間、迂余曲折を 経たマミのテ―マに終止符が打たれる。クリィミ―マミは客観の中では一年間の 夢を人々に与えた天使であり、優と俊夫の主観の中では二人の心を結び付けた愛 のキュ―ピッドたり得たのだ。そうして我々にとっては、この素敵な物語を提供 してくれた、そして共に感じさせてくれた、コケチッシュな魔法使いだったので ある。
 
 今ここにクリィミ―マミは完全なかたちで完結した。